バヒド・ハリルホジッチ新監督(62)は、日本サッカー界の現実に即した攻撃を徹底する。初陣となるチュニジア戦(27日)に向け、25日は攻撃に重点を置き、人数をかけずに攻め込むスタイルを繰り返した。システムもアギーレ前監督体制から変わり、4-2-1-3になるとみられる。

 ハリルホジッチ監督が徹底したのは、カウンター攻撃の重要性だった。午前中に宿舎で行われたミーティングでは、昨年のW杯での日本の得点シーンなど、いい場面を集めた映像を使った。日本の得点パターンはポゼッションから生まれるのではなく、人数をかけないカウンターで取っていることを説明。「ポゼッションサッカーは評価している」と一定の理解を示しながら、過去を捨て、新たな道を選ぶことを伝えた。

 シンプルに縦に速い攻撃を繰り返した。練習は冒頭15分のみが公開され、その後は約2時間、みっちりと攻撃練習に時間を割いた。守備をしてボールを奪った瞬間、攻撃に切り替える。ボールを前線の選手にあて、手数をかけずに攻撃を仕掛ける。快足のFW永井は「一番いいカウンターは、守備から切り替えた後の速さが求められる。しっかり相手を分析してやっていきたい」と意欲を見せた。

 システムは、アギーレ前監督体制と異なる4-2-1-3を採用するとみられる。トップ下に入る可能性が高いのは、パスの出し手としても、前線へ抜け出して受け手にもなれるMF香川。トップ下にはザッケローニ監督時代からこだわりを持っており「自分にとっては、慣れ親しんでいるポジション。やれたら楽しい。いかにゴールとアシストにからむ確率を高められるか」と期待を口にした。

 日本サッカー界はボールを保持し、パスを回すポゼッションサッカーを追求してきた。しかし、新監督はポゼッションの代名詞でもあるボランチMF遠藤を外し、新しい風を入れた。現実に即したサッカーで、勝利を目指す。【保坂恭子】