サッカー日本代表のFW宇佐美貴史(22=G大阪)が待望の代表初ゴールを決めた。日本(FIFAランク53位)はウズベキスタン(同72位)と対戦。後半18分から途中出場した宇佐美は、3-1で迎えた同38分に得意のドリブルから右足で記念弾を刻んだ。ハリルホジッチ監督とのゴールの約束を実現させた新エース候補は、大勝に貢献。6月からのW杯ロシア大会アジア2次予選へ最高のアピールに成功した。

 いち早く駆けつけた戦友と強く抱き合った。FW宇佐美が待望の代表初ゴールを決めた。09年のU-17(17歳以下)W杯以来、同じ青いユニホームを着た柴崎と一番に喜びを分かち合った。92年生まれのプラチナ世代。どんな黄金よりも2人の笑顔が輝いていた。

 「岳(柴崎)は(これまでの代表で)2つ点を重ねてて、今日も決めていた。僕はまだ決めてなくて。ずっと自分も取りたいと思っていた」

 後半38分、こぼれ球を奪うと相手DF3人に囲まれた。蹴散らすようにドリブルで突破し、右足で強く押し込んだ。“らしい”シュートがゴール左に突き刺さった。柴崎がクールにゴールを決めた3分後に、敬礼のパフォーマンスで喜びを爆発させた。

 「岳は何もしてなくて(こんなに喜び)情けないな、って思ったけど、僕らしいし岳らしい。やっと1点取れた。良かった」。G大阪の先輩、MF今野も「バケモノ」と驚いた。

 約束があった。試合前、ハリルホジッチ監督から「1点取れよ」とゲキを飛ばされた。笑ってごまかしたが、日本代表の男として守りきった。「約束守ったな」。指揮官から笑顔で迎えられた。

 19歳で欧州に挑戦。「代表を意識した中でドイツに行った」。G大阪の下部組織時代は「至宝」と称された力を試したかった。しかし出場機会に恵まれず、自然と自分の時間が増えた。妻の蘭さんとドイツの街並みを楽しむようになると、見える景色がガラリと変わった。心にゆとりができ、以前より視野が広くなった。机に並ぶリモコンの位置を整えるほど、細かいところに気が付いた。個人技だけでなく、周囲も生かせる選手へと成長した。

 2年4カ月ぶりに復帰した代表で、チュニジア戦で初出場、この日は初得点を刻んだ。それ以上に岡崎や本田ら海外で活躍する選手から刺激を受けた。「前(FW)の選手は点を決めないと飯も食えない。その最高峰が岡ちゃんや圭佑君。僕もそんな役者になりたい」。3年半後のW杯ロシア大会へ、宇佐美の輝きは増していく。【小杉舞】

 ▼初ゴールトリオ 青山、宇佐美、川又の3人が代表初得点。1試合で国際Aマッチ初ゴール選手が3人以上というのは、04年2月7日のマレーシア戦(カシマ)での小笠原満男、宮本恒靖、山田暢久の3人以来、11年ぶり史上6度目。最多は4人で、80年3月24日のフィリピン戦(長谷川治久、岸奥裕二、木村和司、横山正文)、89年6月11日のインドネシア戦(堀池巧、長谷川健太、信藤克義、黒崎久志)と2度記録。