U-22(22歳以下)日本代表の手倉森誠監督(47)が、地元仙台で若き日本の力を見せつけた。選手交代枠「8」をフル活用する戦いで、U-22コスタリカ代表に勝利。前半は常連組のMF野津田岳人(21=広島)が先制し、後半は復帰組のFW金森健志(21=福岡)が追加点を奪った。3月のリオデジャネイロ五輪アジア1次予選から半数を入れ替え、13年まで指揮した街で融合させた。

 手倉森監督が、仙台凱旋(がいせん)試合を2発で飾った。前半36分、DF亀川の左クロスに野津田が飛び込む。利き足と逆の右を合わせるダイレクトプレーで先制すると、後半32分には途中出場の金森が力のこもった右足ミドルで突き放した。1万人を超えた観衆からの「テグ」コールに、指揮官は「2つのゴールと勝利を届けられて良かった」と酔いしれた。

 昨年のW杯ブラジル大会でA代表が8強に入った、FIFAランク14位のコスタリカ。今回は22歳以下だが、強豪相手に果敢に新戦力を試した。3月のリオ五輪アジア1次予選から23人中11人しか残さず、試合でも8人の交代枠をフル活用。常連の野津田が先制V弾で意地を示せば、昨秋のアジア大会以来の招集となった金森が点を加えた。

 手倉森監督は「自チームやJ3で出番をつかんだ選手が驚くほど成長していた」と評価。さらにU-20世代から追加招集のFWオナイウ、FW小屋松も送り込み、後半途中から陣形を4-4-2、3-4-3に変更。「柔軟性と成長示せた」と90分間に満足した。

 選考段階から化学反応を考えていた。小学校の時からチームメートで、ライバルでもあったMF前田とMF中島を対外試合では初めて同時出場させた。「東京Vから松本に移籍して成長した前田と(中島)翔哉を絡ませて成長を促した」と指揮官が説明すれば、前田も「常連に負けた感じはしないけど、もっと(松本)山雅で成長しないと」。刺激を与え合う4泊5日にした。

 その合宿中、U-21欧州選手権を勝ち抜き、一足先にリオ五輪切符を得たドイツやポルトガルの映像を見せた。「世界を意識させた」上で、初めてアジア以外との対戦となったコスタリカに勝利。最終予選へ「もっと、いいチームになる」と手応えをつかむ仙台の夜となった。【高橋洋平】