【武漢(中国)3日】東アジア杯初戦・北朝鮮戦の逆転負け(1-2)から一夜明け、男子の日本代表が自発的に改善策を模索した。縦の速さを求めるバヒド・ハリルホジッチ監督(63)の意向に従うだけでなく、実際にピッチに立つ選手の判断で遅攻やボール保持に切り替える必要性を話し合った。

 悪夢の黒星発進から一夜明け、イレブンはハリルホジッチ監督の“説教”を受けていた。午前10時の時点で気温40度を超える中、5分間、選手に語りかけた。

 「力を示し、誇りを見せないといけない。そして、もっと走らないと。開始20分だけプレーできてもダメだ。このままでは(今大会3試合で1度も)勝てずに日本へ帰ることになる」。

 厳しい言葉で再起を促したが、選手は既に改善策を探し始めていた。1-2で逆転負けした北朝鮮戦は自滅に近い内容。「前へ前へ」とあおる指揮官の要求を忠実に守ろうとし、リードしていても縦への速攻一辺倒で消耗した。過密日程でスタミナに不安があると誰もが分かっていた中で、だ。

 登竜門の大会だが、国内組であろうが結果を求められる。選手は試合直後から率直な思いを出し合った。DF槙野智章(28=浦和)は2失点に絡んだことを猛省した上で「自分たちは何もしない、じゃいけない。ピッチ内で要求する声を、怒鳴ってでも出していかないと」と提案。MF山口蛍(24=C大阪)も「縦への意識が強すぎたのは確か。まずは監督の意図があるけど、時間に応じて中でメリハリをつけないと」と呼応した。

 日本協会の霜田技術委員長も理解を示す。「選手は監督の指示通り動くだけじゃダメ。自分たちで感じないと」と自覚を促し、アジアでの苦戦に「早い段階で味わえたことは悪くない」と、戒めになると受け止めていた。明日5日は宿敵韓国戦。ハリルホジッチ監督の強烈な個性に圧倒されてきた選手が、初黒星を機に奮い立つ。【木下淳】