日本代表FW岡崎慎司(29=レスター)が2得点に絡む活躍で、日本を2次予選E組首位へ押し上げた。後半10分にPKを獲得しFW本田圭佑(29=ACミラン)が先制点を挙げ、同25分には岡崎が追加点を決めた。これで通算47得点。クラブと代表での活躍が認められ、スペイン紙で世界年間最優秀選手「FIFAバロンドール」候補者59人に選出と報じられた男が、さすがの決定力を見せた。

 中東の笛を日本に傾かせたのは、岡崎だった。後半10分。MF長谷部のロングボールに反応し右から裏に抜けた。ペナルティーエリア内で縦に抜けだそうと、ボールを蹴り出した直後、シリアDFに倒されファウル。1度は流れたかに見えたジャッジは約3秒後、PKの判定になった。譲った本田が危なげなく左へ決めて先制点。前半からたまり続けたフラストレーションが、少しだけ和らいだ。

 過去に日本が、何度もジャッジで悩まされた中東でのアウェー戦が、この判定で風向きが完全に変わった。序盤から、有効な攻撃ができない中でも、前線から逃げずに体を張ったのが岡崎。「下がったところで何もできない。ガンガンきている相手こそ、裏を狙える。ただもっと、引いていない相手に多彩な攻撃をしないと」。スコアが動き、バランスの崩れた相手の隙を再び突いて、持ち前の得点力を見せたのは、その15分後だった。

 同25分、左サイドを突破した香川のクロスをニアサイドで合わせた。貴重な追加点で、戦前E組首位だったシリアを突き放した。「プレミアではちゅうちょしないで仕掛け続けていくことをしないといけない。代表だと、ゴール前で力を発揮することにすべてを注ぐことができる」。岡崎の居場所は、相変わらず相手ゴールの前だった。

 代表では15年は11戦7発、昨季まで所属したマインツでは12得点。両輪での活躍が認められて、スペイン紙では世界年間最優秀選手「FIFAバロンドール」候補者59人に選ばれたと報道され注目を集めた。「正直、意味分からないッスよね!」と笑い飛ばすが、世界から認められた証しでもある。

 アジアでの戦いでもしっかりと日本の力になった。「もう1度自分はW杯にいきたい。そのためにやれることをやり続ける」。来年で30歳を迎える今もなお、成長を求め、日本のストライカーであり続けている。【栗田成芳】