来年のリオデジャネイロ五輪出場を目指すU-22(22歳以下)日本代表候補は、J1鳥栖と練習試合を行い、快勝した。鳥栖が主力を欠いたこともあるが、0-0に終わった27日の福岡大との練習試合で出た問題点をしっかりと改善した。視察した日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(63)からも、評価と期待を込めた言葉をかけられ、5日間の合宿を打ち上げた。

 手倉森誠監督(47)は試合後「帳尻合わせみたいなもんだよ」と笑った。DF奈良のヘディング弾2連発を契機に攻撃が爆発した。鳥栖が主力をほとんど出場させなかったこともある。それでも後半ロスタイム、鳥栖所属のFW鎌田がチーム7点目を挙げると、鳥栖サポーターからも大歓声が起きた。

 そしてゴールラッシュ以上に、チームにとって留飲を下げる出来事もあった。視察した日本代表のハリルホジッチ監督は「可能性を感じる。最終予選を突破して、五輪本大会に出場するクオリティーを持つチーム」と評価した。

 A代表の指揮官からは、9月のJ3町田戦後に「このチームには何もないな」と酷評されていた。手倉森監督は「選手たちにはそのことを話した。そして、今回は可能性を示してやれとハッパをかけた」と明かした。言葉に応じるように、選手たちは勢いのあるプレーを続け、メモを取るハリルホジッチ監督のペンを90分間止めさせなかった。

 手倉森監督は「普段より合宿期間が1日長かったこともあるが、選手が変わるに十分な時間を持てた」とうなずいた。ビデオミーティングを重ね、相手DFの死角側からライン裏を突く攻撃コンセプトを明確にした。前日28日には佐賀市内の病院の慰問後に「日本代表として、みなさんを勇気づけ、希望を持っていただくプレーをしないと」と鼓舞した。

 戦術面はもちろん、代表としての自覚も高まった。個々がJクラブでの出場機会を着々と増やしていることもある。ハリルホジッチ監督も認めるように、手倉森ジャパンは確実にたくましさを増している。【塩畑大輔】