日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)は5日、日本協会の田嶋会長とともに地震の被害を受けた熊本を訪れ、避難所などを訪問した。

 「益城町を始め、宇城、宇土でも、甚大な被害を見ました。かつては私の家も同じ状態でした。だから被害を見た時に、戦争の状況を思い起こした」

 ユーゴ内戦。ボスニア・ヘルツェゴビナの自宅近くで、ハリルホジッチ監督は昨日までの「ご近所さん」に銃を向けられた。自衛のための銃がポケットで暴発し、大けがをして病院に担ぎ込まれた。戻ってみると、すでに自宅は元の姿を保ってはいなかった。

 「そのような悲しい思い出がよみがえったので、私は立ち上がらないといけないと思った。戦いは続く。人生も続く。まずは若い世代を勇気づけないと、日本は復活しない」と語った。

 ◆ハリルホジッチ監督とユーゴ内戦 ボスニアのモスタルで監督を始めて2季目の92年春、ユーゴ内戦の戦火はボスニアに及んだ。3月には自宅前の路上でセルビア人とボスニア人の銃撃戦が始まるまでに。戦火で自宅だけでなく、飲食店、衣料品店などの資産も失った。その失意の中、フランスに移り住み、セミプロチームの監督などをしながら再起の時をうかがっていた。