日本協会は24日、アルゼンチン遠征(30日~12月10日)に参加するU-19(19歳以下)日本代表23人を発表し、15歳の久保建英(たけふさ、東京U-18)を初招集した。同代表は20年東京五輪の主力になる世代で、来年5月に開幕するU-20W杯(韓国)に出場する。バルセロナの下部組織で育った天才がメッシの母国から、東京五輪へと向かって歩みを進めていく。

 中学3年生の久保が飛び級でU-19日本代表に抜てきされた。日本協会によると、同代表に中学生が選出されるのは初めてという。今年はここまで1つ下のカテゴリー、U-16の主力として活動していた。97年生まれの19歳が過半数を占め、DF中山、MF冨安ら今季J1でレギュラーとして活躍した選手らの中にただ1人の21世紀、01年生まれのFWが加わる。

 U-19、U-16の両日本代表は、それぞれ来年の世界大会U-20、U-17両W杯出場権を獲得。10月にU-19がアジアを制した直後から、久保の飛び級招集は話題になっていた。代表関係者も「1歳でも若い選手が上の年代に出るのは、日本のレベルアップには必要」と期待を寄せていた。今回はクラブの事情もあり招集見送りとなったがU-19のエース格、MF堂安律(G大阪)も「代表でも(一緒に)やってみたいですね」と心待ちにしていた。

 久保の飛び級招集は年齢差もあり、夢プランとみられていた。だが今月に入り、J3で東京U-23の一員として史上最年少デビューを飾り、主戦場の東京U-18でもJユース杯を制した。この活躍もあり内山篤監督が決断したもよう。U-20W杯出場権獲得後、初の活動に1人だけ下のカテゴリーから呼び寄せた。

 夢は膨らむ。競争を勝ち抜けば、韓国で開催されるU-20W杯(来年5月開幕)招集の可能性もある。当初はインドでのU-17W杯(同8月開幕)出場が確実視されたが、前倒しで世界デビューもありえる。その先には20年東京五輪がある。観測史上初めて、都心で11月に積雪があったこの日、日本サッカー界にもサプライズがあった。メッシの母国アルゼンチンから、久保が母国開催、東京五輪への道を本格的に歩み出す。

 ◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、神奈川・川崎市生まれ。11年9月に川崎Fの下部組織からバルセロナ下部組織に入団。12-13年シーズンには同年代の選手たちを相手にしたリーグで30試合74得点で得点王に輝く。バルセロナが18歳未満の外国人選手の獲得、登録に違反があったとしFIFAから制裁を受け公式戦に出場できなくなったため退団して帰国。15年5月に東京U-15むさしに加入。今季は東京U-18に飛び級昇格しプレー。さらに、J3の東京U-23でJリーグデビューも果たした。日本代表(年代別)初招集は、まだバルセロナに籍のあった15年4月のU-15インドネシア遠征だった。167センチ、60キロ。

 ◆最近1カ月の久保の活躍 5日に東京U-23でJ3の長野戦(駒沢)に途中出場。史上最年少の15歳5カ月1日でJリーグデビューを果たした。13日には同福島戦(とうスタ)に途中出場。19日は東京U-18の切り札としてJユース杯決勝広島戦(ヤマハ)に途中出場。延長後半の決勝ゴールをアシストし7年ぶり3度目の優勝に貢献。翌20日にはJ3のC大阪U-23戦(夢の島)に途中出場。前日から2日連続でプレーした。