サウジアラビア戦では先発から外した。その後、冬の移籍期間で出番を求め移籍するよう後押ししたが、それも実現しなかった。本田は依然としてベンチを温め続け、前節10日のユベントス戦(アウェー)はけがでベンチ外。この日ようやく練習に復帰したというが、ここ数日はインフルエンザで練習も休んだ。不安要素ばかり。それでも指揮官の選択は不変だった。

 相手は昨年9月の最終予選初戦で不覚を取ったUAE。さらに今回は敵地での苦しい戦い。経験にかけた。就任以来、所属クラブで出場機会がなければ代表に呼ばないと言い続けてきた。それを曲げてでも本田を取った。選外とした好調の川崎FのFW小林ら国内組より、ベンチの本田にかけた。

 「いろいろ考慮する中で、本田の代わりができる選手がいるのか? と考えた。若手を使った時にできるのか? できるが相手に敬意を払い過ぎる。その意味でも、本田のような選手はこれからも必要。イタリア、ヨーロッパでもビッグクラブにいる。そこでトレーニングするだけでも違いがある。信頼できる選手だ」

 もちろん招集イコール起用ではない。「出るのかどうか、何分出るのかはまた別」と注釈をつけた。今回の選考では「経験」を最重視し、早い段階から本田を呼ぶ心づもりでいた。継続的に電話で話し、代表への強い思いも確認していた。

 メンバー選考は代表監督だけの仕事だが、選出の瞬間から選んだ側、選ばれた側に責任が生じる。試合から遠ざかる本田は果たしてこの2試合で選出が正しかったと証明できるだろうか。真価が問われる。【八反誠】