日本代表FW本田圭佑(30=ACミラン)が25日、W杯アジア最終予選B組のタイ戦(28日、埼玉)に向けたさいたま市内での練習後、取材に応じ、台頭する若手との競争を歓迎した。

 23日のUAE戦ではFW久保裕也(23=ヘント)にスタメンを譲り、後半から途中出場も無得点に終わった。絶対的な存在だった本田は、世代交代をささやかれることもある。UAE戦で得点した久保について聞かれると、嫌な顔をすることなく答えた。

 「うれしいですよ。それは危機感がないということではなくて、サッカーのスタンダードですから。何も不思議なことはないし、僕がミランでもここでもレギュラーというポジションを奪われているだけの話。今までが奪われてなかったというだけなので。これは起こりうる現実」

 所属チームでプレー機会がほとんどない自身に対し、ヘントで移籍後7戦5発とゴールを重ねる久保。結果を残すことで道を切り開いてきた本田らしく、自分についても現状はもの足りないとばっさり切った。

 とはいえ、表情に悲壮感はない。要因はACミランで出場機会を失っていることだと理解している。

 「チームで出られてないことが要因。なかなかこの状況を打開する場がない。本田はいったいどのようなプレーをするのか、みんなが分からないと思う。そこだけだと思う。普通に見せることが出来て、点を取ることができれば『やっぱりこれぐらいはできるんだな』というふうにまたチャンスは増えてくるんじゃないかと思う」

 実戦でのプレーが不足していることは分かっている。それでも、試合に出れば結果は残せる。その自信は失われていない。

 本田はむしろ、新たな成長の機会に出会ったと前向きだ。

 「僕はすごく今が楽しくて。こういうことが起これば起こるほど、なんかこう、自分自身が試されている気がして。右肩上がりにしていく、それをどうしていこうか、考えるのが好きだし乗り越えていくのも好きなんで。この期間を非常に楽しんでいる。道筋は見えていますよ」

 話す目には力がこもり、口調もはっきりと力強い。このままでは終わらせない。後輩の台頭を認めて“共闘”を語る口ぶりの陰に、気迫があふれていた。【岡崎悠利】