頼れる日本の10番だ。MF香川真司(28=ドルトムント)が先制ゴールを決めた。前半8分、FW久保の右クロスからFW岡崎を経由し中央で受けると、DF3人に囲まれた。1度はシュート体勢に入るも、タメを作ってDFを翻弄(ほんろう)。体はブレることなくすぐに右足で持ち直し、ゴール左に蹴りこんだ。16年6月3日キリン杯ブルガリア戦以来、約9カ月ぶりの通算86試合28点目。出場6試合ぶりの得点だ。

 「うまくフェイントできた。結果を常に求められている中でゴールという結果が出せて良かった」

 久々のトップ下で躍動した。絶対的な司令塔からMF清武の台頭で、徐々にベンチを温めることも増えた。昨年10月の最終予選イラク戦では出場機会がなく、23日のUAE戦では中盤3枚の右MFで出場。現状に危機感を覚えていた。「自分が引っ張るという気持ちしかない。どんな状況だろうが弱音は吐いてはいけない」。逆境への挑戦を自らの力に変えた。

 今年は肉体改造に取り組んでいる。個人トレーナー2人を雇い、自身の体ととことん向き合った。ドリブルやシュート体勢に入る時、力の使い方を意識。効果はてきめんで、この日のゴールもDF3人に囲まれながら体のバランスを崩さなかった。

 今回の最終予選で岡崎とともに初得点。さらに、13年から香川がゴールを決めれば10連勝中だ。「(試合前は)不安の方が大きかった。その中で1つ結果を残さないとと思っていた」。まだ続くロシアへの道のり。香川の力は絶対に必要だ。【小杉舞】