<国際親善試合キリン杯:日本0-0パラグアイ>◇27日◇埼玉ス

 岡田監督は今大会2戦を通じて、1度も高原の名前をスタメン表には書かなかった。この日は後半18分に途中起用も、FW5人の中で最後の登場だった。高原は、失地回復のゴールは挙げられなかった。それでも岡田監督は非情と温情のこもった言葉で、不振のエースをかばった。

 岡田監督

 高原の現状は今日の試合にスタメンで出ていないことで明らかなように、我々も本人も満足できるものではない。ただ移籍して環境が変わると(順応に)時間がかかる。日本人で唯一、試合出場数の半分の得点を挙げている。代表でも半分近く挙げている

 高原の代表通算57試合23得点という実績は際立っている。それがこの日も不発だった。後半25分にはDF駒野から絶妙な縦パスがペナルティーエリア内のスペースに出された。トラップして前を向ければ決定機。高原の足にボールは付かなかった。トラップミスにスタンドからはため息が漏れた。結局、試合終了までに1本のシュートを打つこともできなかった。高原は「ああいうチャンスは1回はある。次の(W杯)予選は障害がいくつも出てくる。そこで結果を出すためにもしっかり決めないといけない」と反省した。

 だが、岡田監督は高原を見捨てるつもりはない。復活を待ち続けることを会見場で宣言した。「彼本来の力を取り戻すことは我々にとって重要なこと。その意味で我々には忍耐が必要だ。マスコミのみなさんにも忍耐を持ってもらいたい」。批判の声を鎮めるように、異例のお願いだ。

 それは絶対的なエースが不在であること、FWの決定力不足が深刻であることの表れでもあった。「我々にはW杯予選という大きな目標がある。絶対負けられない戦いなので、そこを勝てるよう頑張る」。岡田監督はキリン杯優勝にも喜びは封印した。高原の復活を信じて、W杯予選を戦い続ける気だ。【広重竜太郎】