<W杯アジア3次予選:日本3-0タイ>◇14日◇2組◇バンコク、ラジャマンガラ・スタジアム

 “ボンバーヘッド”が、酷暑の南国で戦うチームを救った。前半39分。日本代表DF中沢佑二(30)は、相手のマークを振り切り、フリーで遠藤のCKに飛び込んだ。完ぺきにミートされた、強烈な一撃。ゴールネット左隅に深く突き刺さるシュートを、タイGKコシンは1歩も動けないまま、ぼうぜんと見送った。

 「いい形で闘莉王も決めてくれたし、いい流れで試合を進められた」と中沢。前半に先制したことで、難敵タイの攻撃に、余裕を持って対処できた。試合終了直前にも、カウンター攻撃で駆け上がり、追加点を狙った。攻守の運動量は、最後まで落ちなかった。

 アウェーでの厳しい戦いを、早くから覚悟していた。今年1月。中沢は「6月のタイは雨も降るし、芝もよくないはず」と話し、契約するプーマ社以外のスパイクも含めて、幅広くテストを進めた。結局プーマ社と契約更新したが、今回のタイ遠征までに、何種類ものスパイクを準備させた。

 たとえ同組最下位が相手でも、気を抜いてはいけない-。万全を期する姿勢は、チームに最後まで緊張感を保たせた。「完封したけど、改善点はある。でもあわてず、自信を持って戦えば、きっといいチームになる」。国際Aマッチ通算77試合目の主将が、若き岡田ジャパンの手綱を、しっかりと引き締める。