幸運をもたらす「大黒様」がメンバーに滑り込んだ。日本協会は29日、10年W杯南アフリカ大会アジア最終予選の初戦となるバーレーン戦(9月6日、マナマ)の追加招集3選手を発表。25日に発表された20人に加え水本裕貴(22=京都)、内田篤人(20=鹿島)両DFとFW大黒将志(28=東京V)が選出された。大黒は前回W杯の最終予選でも追加招集され、北朝鮮との初戦で決勝弾。バーレーン戦での活躍にも期待がかかる。なお、日本代表は30日から千葉県内で合宿をスタートする。

 代表ウルグアイ戦(20日)で実力を示せなかった大黒に吉報が届いた。この日はチーム練習がオフだったため「またW杯予選を戦うメンバーに選ばれ、うれしく思っています」と広報を通じてコメントした。23日東京戦では移籍6戦目で初得点を決め、27日浦和戦でも初アシストをマークした。持ち味の動き出しの速さも復活。着実に調子を上げ「追試」に合格した。

 大黒といえば最終予選だ。前回ドイツ大会でも代表を辞退したFW久保(当時横浜)に代わって追加招集された。18人のベンチメンバーに入れるかは微妙だったが、高校生相手の練習試合でも手を抜かずにゴールを奪い、初戦の北朝鮮戦では18人に「滑り込み」。引き分け寸前のロスタイムに決勝ゴールを挙げ一躍、スター選手に駆け上がった。

 追加招集を前に心強い後押しもあった。27日の浦和戦を観戦した横浜FCカズから「(移籍後)一番よかったんじゃないかな」などとプレーぶりを絶賛された。前回の最終予選前にはスパイクをもらって自宅に飾ったあこがれのカズから評価されたことは、何よりの自信回復になったはず。大黒は「試合に出られるように、そして日本がW杯に出場できるように頑張りたい」。前回同様、大黒が日本代表の救世主になる。【岡本学】