日本代表がW杯最終予選の大一番オーストラリア戦(2月11日、日産ス)を前に、前代未聞のファンサービスでサポーターとの一体感を高めることが28日、分かった。2月4日のフィンランド戦(国立)直後に、試合に出場した選手が同じフロアに一堂に会し、一部サポーターと写真撮影や歓談の場を設ける。もちろん代表戦でははじめての試みで、W杯本戦出場へ正念場となる09年を、ファンと一体になって乗り切る。

 試合を終えた選手と談笑し、記念撮影に納まる。サポーターにとって夢のようなファンサービスを、日本サッカー協会がフィンランド戦で実現させる。すでにプレゼント用に選手が着用するものと同タイプのユニホームも準備。今は試合で負傷した選手の対応や、参加するサポーターの選定方法など詰めの段階にある。

 前代未聞の「ホスピタリティー計画」は、日本代表のファン離れへの強い危機感から生まれた。岡田ジャパンのスタートとなった昨年1月の親善試合チリ戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は、集客数が4万人に届かず、特にボスニア・ヘルツェゴビナ戦は2万6000人台に低迷した。6月に会長に就任した犬飼会長は「ホスピタリティー(おもてなし)の充実」を目標に掲げ、さまざまなファンサービスを実施してきた。

 今回の企画は犬飼会長が自身の体験を生かしたものでもある。昨秋の欧州視察の際、フランクフルトMF稲本が試合後のラウンジでフレンドリーに子どもたちと触れ合う姿を見て「クラブ側も選手もサポーターも、そういうことを自然と楽しむ雰囲気が素晴らしかった」と感銘を受けた。そうした欧州クラブの良さを取り入れたといえる。

 最近は視聴率の低迷や、観客動員の伸び悩みに無頓着だった岡田監督の意識にも変化が見えるようになってきた。今回のバーレーン戦のテレビ中継がなくなったことを知ると「サポーターの皆さんにとっては、我々の試合を直接見ることができず残念だ」とコメント。大一番オーストラリア戦を前に、サポーターと選手が一体化しようとする機運が高まっている。