【クウェート市(クウェート)22日=阿部健吾】U-22(22歳以下)日本代表のエースFW永井謙佑(22=名古屋)が、今日23日のロンドン五輪アジア2次予選クウェート戦(アウェー)へ、「魔法のスパイク」を用意した。固定と取り換えポイントを交ぜた「ミックスソール」で、名古屋のホペイロ(用具係)の特製品。痛めた足首への負担を減らし、同時に劣悪なピッチでも滑らない性能を兼ね備えた秘密兵器だ。3-1と快勝した19日のホーム初戦には不出場。敵地で得点を奪い、最終予選進出を決める。

 敵地での1発を狙うエースは、足元から中東対策を打っていた。永井が「スパイクは固定式と、違うのが2つあります」と明かした。21日のクウェート到着後の初練習では、従来使用してきた固定式を履いた。「今日は地面が硬かったんで。試合の当日にどれを使うか決めます」と決戦への投入を示唆した。

 持参したスパイクは、通称「ミックスソール」。東京V時代にはFWカズ(現横浜FC)を担当していたこともある、名古屋の松浦紀典ホペイロのオリジナル品だ。永井が契約するミズノ社の協力もあり、完成した。特徴は固定式と取り換え式の利点を併せ持っていることにある。

 スパイク裏の突起物(ポイント)を取り換えられない固定式は、一般的に13~15本と数が多く、ピッチをとらえる面積が広い。安定感があり、足への負担も少ない。反対に、取り換え式は数が少なく、6~8本が主。より深くピッチに食い込み、滑りやすい、デコボコなどのピッチでも力を発揮しやすい。だがその分、足への負担はかかる。

 17日の練習中に左足首をひねり、19日のホーム戦不出場だった永井。腫れは引いたが、患部への負担を考えれば固定式…。だが、中東のピッチ状況を考えれば取り換え式…。その悩みの両方に答える新兵器だった。ポイントは2個ずつ6列と、中央に1個の計13個。前から1列目と3列目が取り換え式のもの、1列目と3列目と6列目が取り換え式のもの、計2足の「ミックスソール」をそろえた。

 21日に現地初練習を終えた選手からは、「暑さよりも砂。目、喉にくる」との声が相次いだ。午後7時からの練習開始時に40度、試合開始の午後7時45分でも35度もあった気温より、敵は砂になりそうだ。

 「暑さは意外に大丈夫。そうでもないです。頭からしっかり(前線でのチェイシングを)やって、いけるところまでいく」。暑さを理由に“省エネ”する気は毛頭ない。気温、砂…。何が来ようと、魔法をかけた足で得点を奪ってみせる。