サッカー女子W杯で初優勝を飾ったなでしこジャパンの佐々木則夫監督(53)、DF鮫島彩(24=ボストン)、DF熊谷紗希(20=フランクフルト)らが20日、東京都の石原慎太郎知事(78)を表敬訪問した。同知事はその場で、国が主導して優勝パレードを行わなかったことに不満を爆発。今回は断念するが、猪瀬直樹副知事(64)は、来年のロンドン五輪での金メダルに輝いた場合は「絶対に銀座でパレードする」と確約した。

 祝福の言葉もつかの間、なでしこたちも、思わず目が点になった。都庁のホールでマイクを手にした石原知事が、顔を真っ赤にしてまくしたてた。

 石原知事

 なんで銀座でパレードをやらんのかね!

 国もバカばっかりだな。本当は成田着いて、そのままパレードをやっておかないといけないんだ。気が利かないというか、情報をつかんでないというか。

 開始直後からいきなりのヒートアップ。世界を制した監督、選手も直立不動で緊張した面持ち。表敬したはずが、思わぬ怒声にたじたじに…。しばらく誰も口を挟めずに、独演会を聞くしかなかった。

 もちろん、怒りがわくのは快挙だからこそ。「最近暗いことばかり。こんな日本には住みたくないなと思っていた。いちるの望みをつなげました」。さらに女性を礼賛。「日本の男は総理大臣もオレもみんなダメだな。サッカーでも男はエリア内でくるくる回して。女子は真っすぐ勝負するものね」と褒めたたえた。

 実はこの日午前中に、都で直近のパレード開催の可能性を探ったという。だが海外のチームに所属している選手もおり、日程の都合で開催を断念した。そこで次なる計画に浮かんだのは来年の夏だ。猪瀬副知事は「今回は反省だ。次のロンドン五輪では絶対にやるよ」と宣言。金メダルに輝いた場合、都が主導して銀座パレードを行うことを約束した。スポーツ関係の同地でのパレードとなれば、プロ野球巨人以来。優勝した09年には約34万人が沿道を埋め尽くした。

 最初は同知事の勢いに面食らっていた選手も、約10分間の対面の締めくくりには、今後の活躍を誓った。「なでしこを今後ともよろしくお願いします」(鮫島)「これからが勝負。ここからです」(熊谷)。今回は開催できなかった優勝パレード。力強い援軍の登場を受け、来年の夏こそ金メダルを胸に、沿道からの祝福の嵐を受ける。【阿部健吾】