大型サイドバック(SB)の大学生コンビが「第2の長友」を目指す。U-22(22歳以下)日本代表は18日、東京での候補メンバー合宿の2日目を行った。紅白戦でSBに起用されたのはDF丸山祐市(22=明大)とDF大岩一貴(22=中大)のともに身長180センチを超える2人。前回の北京五輪予選では、当時明大所属の日本代表DF長友佑都(25=インテルミラノ)が抜てきされ、飛躍のきっかけをつかんだ。同じ学生、同じポジションの2人が、同じ歩みでの成り上がりを狙う。

 夕暮れ時の紅白戦の1本目で、両サイドバック(SB)にこれまで関塚ジャパンになかった「高さ」が築かれた。左には183センチの丸山、右には182センチの大岩が構えた。ともに所属大学ではセンターバックを担うが、サイドに張っても積極的な攻撃参加で存在をアピールした。

 五輪予選の最中に招集された大学生として、目標がある。長友佑都。08年北京五輪出場をかけた予選途中に明大からメンバー入りし、その後五輪本番にも出場。いまや世界一流クラブに所属するまでになった。

 170センチで豊富な運動量を武器にする先人とは、2人とも持ち味は異なる。昨年11月のアジア大会直前合宿以来で参加の丸山は「自分は左利きのキック精度をみてほしい。クロス10本中何本合わせられるかを考えている」。初招集の大岩は紅白戦でも頭で得点を奪い、「長身を生かしてはね返せるのが持ち味。センターバックっぽいSBという新しいものを出したいですね」と意気込む。

 この日、スタンドには長友を発掘した人物がいた。北京五輪代表コーチだった江尻篤彦氏(現U-15日本代表コーチ)。関東大学リーグ戦を主戦場にしていた長友を一目見て、反町監督に推薦した。「また同じように大学生からシンデレラボーイが出てきてほしいですね。3年後には億単位を稼ぐ選手になっているかも」と期待した。

 現在のSB争いでは、比嘉、酒井宏、酒井高らが評価を得ている。ライバルたちを超えるには実戦での猛アピールが必要になる。「目標はA代表」(丸山)「自分にとってはチャンス」(大岩)。自分の武器を持つ学生コンビが、新たな立身出世物語を作る。【阿部健吾】