本田が圧倒する-。W杯アジア最終予選で2連勝を飾った日本代表が9日、オーストラリアとの第3戦(12日、ブリスベーン)に備え同地に入った。8日ヨルダン戦(埼玉)でハットトリックを達成するなど、最終予選2戦4発のMF本田圭佑(25=CSKAモスクワ)は宿敵相手に自信を強調した。

 本田は、定番となったサングラス姿で敵地へと移動した。気温16度、冬へと向かうブリスベーン空港に降り立つと「やっぱり寒いね。こっちは冬やから」と敵地の空気を吸い込んだ。心の準備は、成田空港出発の時からできていた。プロ入り後初のハットトリックを達成し、6-0大勝劇の立役者となった前夜の歓喜は、もうピッチ上に置いてきた。同組最大のライバルと目されるオーストラリアに目を向けた。「圧倒できるか?」の問いに「それはそう。そういうイメージは持っている」と自信をのぞかせ、静かに決意表明した。

 連勝を飾った最終予選2試合は、本田のための舞台となった。3日のオマーン戦は初戦の重苦しさを打ち砕く先制ゴール。ヨルダン戦は試合4日前に「打ちのめす」と宣言した通り、3発をたたき込んでの圧勝。高さと個の強さを兼ね備えるオーストラリア相手にも、真っ向勝負に出て圧倒する覚悟だ。

 この3戦目を1つのポイントにしてきた。日本と残る4カ国との力関係を考え「どの相手も日本相手だと(自陣深くまで)引くでしょう。ただ、オーストラリアだけは(実力が)トントンだと思いますけど」と話し、ガチンコ勝負を楽しみにしていた。優勝し、本田がMVPに輝いた昨年1月のアジア杯決勝でも激戦を演じた相手。ホームで自慢の高さを押し出し攻め込んでくるはず。その相手を圧倒し、3連勝という結果に加え、実りある内容も手にしたい。

 日本に戻ってくる予定の13日は26歳の誕生日。その前夜のオーストラリア戦が、25歳ラストマッチになる。昨年8月末に右膝を痛めた。手術も受け、半年以上、実戦から遠ざかった。けがとは無縁だった男がサッカー人生で初めて経験するブランクと向き合った激動の1年。そんな25歳を完璧な形で締めくくる。