<U-20女子W杯:日本3-1韓国>◇30日◇国立◇準々決勝

 ヤングなでしこが歴史を塗り替えた。日本が韓国に快勝して初のベスト4進出を決めた。前半にMF柴田華絵(20=浦和)が2得点、MF田中陽子(19=INAC神戸)も4戦連続となるゴールを決めて圧倒。今回の主力も出場した10年U-17W杯決勝でPK戦の末に敗れた雪辱を果たした。悲願の初優勝へ、9月4日の準決勝はドイツとノルウェーの勝者と対戦する。

 気迫あふれるプレーを見せる韓国に、153センチの小さな体で渡り合った。MF柴田は前半8分、FW西川からのスルーパスに足を目いっぱい伸ばし、韓国GKよりも一瞬早くボールに触って、右足ゴール。負ければ即終了の準々決勝で、貴重な先制点。「韓国は気持ちで来ていたけど、負けずに主導権を握ってボールを回せた」と振り返った。

 流れを引き戻したのも、柴田だった。同15分、韓国FW全銀河にヘディングで決められ、同点。しかし同19分、MF田中美のパスを受けると、今度は左足で放った左ポスト直撃のシュートがそのままゴールへ。意図せず無回転シュートになり、相手を惑わせた。吉田監督も「今日のMVPは彼女。追いつかれたときに決めてくれた」と評価した。

 柴田が得意とするドリブルは、“香川仕込み”。173センチの男子のスターと体格差はあるが、「好きだし、目標。前を向いて仕掛けるところを見習っている」。仕事と練習の合間に、テレビでのチェックは欠かさない。

 ピッチを離れれば、一般企業に勤めるOLだ。浦和に所属しながら、さいたま市に本社を置く施設の管理や運営を行うアイル・コーポレーションで事務職をこなす。午前8時半から午後4時半までの業務を終え、練習へ。今回は事前の合宿から約1カ月間、会社を離れることになるが、その間は出張扱いだという。「長期間、仕事を空けてしまって迷惑をかけている」と話していたが、得点を決めて勝ち続けることが、応援してくれる会社の仲間への恩返しになる。

 勝利を決定付けたのは、MF田中陽だった。1次リーグのニュージーランド戦ではトップ下、スイス戦ではボランチだったが、この日は攻撃的左サイド。同37分、DF高木のクロスに合わせてフリーで走り込み、4試合連続得点とした。2年前のU-17W杯決勝で敗れた因縁の相手にリベンジ。「自分でもびっくりです。何がなんでも勝つことを意識した。決勝まで行って優勝したい」と話した。

 後半途中、DF浜田に代わってFW横山が投入されると、左サイドバックへ。約16分間を無失点で耐えた。それでも慣れないポジションに不安を抱え「早く終わって勝ちたいと思っていた」と試合後は本音が漏れた。

 目標の金メダルへ、あと2勝。史上初のベスト4も、柴田は「4強入りが目標ではない。あと2試合とも勝ちたい」。ヤングなでしこが、さらに強くなっていく。【保坂恭子】