J2の横浜FCに所属するFW三浦知良(カズ=45)が、世界最強のブラジル戦でフットサル日本代表デビューする。11月1日開幕のフットサルW杯(タイ)に出場する日本代表が、10月24日に東京・代々木第1体育館でブラジル代表と強化試合をすることが17日、分かった。カズは今月24日から予定される日本代表の名古屋合宿に初招集されることが内定しており、今週中に正式発表される。ブラジルはカズが15歳で単身留学した国で深い縁もある。日本サッカー界の頂点を極めた開拓者が、W杯4度優勝を誇る大国を相手に新境地を切り開く。

 最高のデビュー戦が用意された。カズが日の丸を胸にフットサル日本代表として世界最強・ブラジルと「聖地・国立」で対戦する。フットサル日本代表は、来月24日に国立代々木競技場第1体育館でブラジルを迎え撃つ。日本協会はすでに同日、同会場を押さえており、その一戦が、カズのお披露目試合となる。

 カズは4日、フットサル日本代表のミゲル・ロドリゴ監督(41)、日本協会幹部らと都内で極秘会談し、正式にW杯出場を要請された。同監督から「日本代表に力を貸してほしい。ピッチ内の戦力として、さらに精神的支柱として、どうしても必要」との趣旨のことを言われた。首痛のリハビリの最中で、本業のサッカーで本調子ではなかったが「日本のため」の言葉に、気持ちを固めた。

 シーズン中の挑戦だけに、カズはロドリゴ監督と会談した直後は「横浜FC以外のことは話せない。今の気持ちも聞かないで」と明言を避けたが、その後「W杯は、フットサル選手にとって頂点の大会。オファーをいただいたことは誇りに思うし、大きなモチベーションになる。サッカーとは違うカテゴリーだけど、どっちが上とかじゃなくて重いもの。W杯は僕にとって夢であり、目標でもあります」とも話していた。

 ブラジルは初めてフットサルと出会った国でもある。15歳の時だ。単身で渡り、狭いコートで技術を磨く同年代の少年らを見て衝撃を受けた。当時所属していたジュベントスのフットサル監督から誘われて、何試合か公式戦にも出場した。昨年末、Fリーグ(日本フットサルリーグ)参戦を決めた時には「ブラジル代表のほとんどがフットサルを経験している。日本のサッカー少年たちも、フットサルでテクニックを高めた方が、のちにサッカーに役立つ」と普及を熱望していた。

 カズは、24~26日の名古屋合宿に初参加する予定で、今週中には正式発表される。大きなケガがない限り、11月1日に開幕するフットサルW杯タイ大会に出場する。3大会連続4度目の出場となる日本は過去、すべて1次リーグで敗退している。今回もブラジル、ポルトガルなど、強豪と同組に入り、決勝トーナメント進出は簡単ではない。

 代表の青いユニホームに袖を通すのは、12年ぶりだ。サッカー日本代表として00年6月6日のジャマイカ戦(モロッコ・カサブランカ)に途中出場したのが最後の国際Aマッチで、その後、同年12月20日の韓国戦(国立)には招集されたが、ベンチ入りしただけで出番はなかった。

 45歳でようやくたどり着くW杯。日本サッカー界の象徴が、チームをまとめ、日本を初の決勝トーナメント進出に導く。

 ◆フットサル

 1930年代にウルグアイで考案されたのが起源とされる。名称はスペイン語でサッカーを表す「フトボル」と室内を表す「サラ」からの造語。94年にFIFAが複数あった競技名を統一した。プレーヤーは1チーム5人。交代要員は何度でも入れ替われる。ボールは4号球(サッカーでは小学生の公式球の大きさと同じ)。試合時間は20分ハーフ。オフサイドはない。各チーム累積6つ以上の反則を犯すと、壁なしの直接フリーキックが相手チームに与えられる。ポジションはサッカーのFWにあたる「ピヴォ」、DFにあたる「フィクソ」などがある。

 ◆フットサルW杯

 89年にオランダで世界選手権として第1回大会が行われ、今回で7回目。ブラジルが最多の4度、スペインが2度優勝している。日本は第1回に招待出場し、武田修宏や、北沢豪ら日本リーグのホンダの選手を中心としたメンバーで参加したものの、3戦全敗だった。04年台湾大会で初めて自力出場も1次リーグ敗退。前回の08年ブラジル大会ではソロモン諸島相手にW杯初勝利を挙げるも、1次リーグ3位に終わり決勝トーナメント進出はならなかった。

 ◆フットサルW杯タイ大会

 11月1日に開幕し、18日が決勝。世界6地域と開催国の合わせて24チームが出場し、6組に分かれて1次リーグを行う。各組上位2チームと、3位の成績上位4チームが決勝トーナメントに進む。登録メンバー14人がベンチ入りする。日本はタイ東北部のナコーンラーチャシーマーでブラジル戦、ポルトガル戦を行い、バンコクに移動してリビア戦に臨む。