なでしこジャパンVS侍ジャパン!?

 サッカー女子日本代表の参加する3月アルガルベ杯(ポルトガル)が民放で生放送されることが25日、明らかになった。日本協会の関係者によると、TBSとフジテレビが放送するという。ロンドン五輪が注目された昨年とは違い、世界規模の大会がない中での地上波中継。ましてや同時期に行われる野球のWBCにぶつける格好だ。あらためて、なでしこの存在の大きさを証明した。

 五輪イヤーが終わっても、なでしこのパワーは不変だった。来月8日からの代表始動を前に、うれしい知らせが舞い込んだ。日本協会の関係者は「今年も放送してもらえることになりました。これでまた1人でも多くの女子サッカーファンに応援してもらえる」。3月のアルガルベ杯を昨年同様、TBSとフジテレビが放送することになった。

 同時期には野球のWBCが重なる。テレビ局にとっては簡単な決断ではなかったはずだ。放送時間こそずれる可能性はあるが、なでしこの1次リーグA組初戦ノルウェー戦(3月6日)は、WBC予選第1ラウンド「日本-キューバ戦」と同日。なでしこのドイツ戦(8日)デンマーク戦(11日)も、WBC第2ラウンドの日程と重なっている。フジにとって、なでしこが魅力的な有力コンテンツとなっている証しだった。

 昨年の大会も地上波で生放送されたが、今回と意味合いが違う。昨年はロンドン五輪を占う前哨戦だった。注目度は高く、ベストに近い布陣で戦った。今年は2月8日からの大分合宿も若手を中心に招集し、アルガルベ杯も新戦力に多くの機会を与える見通しだ。そんな谷間の年の中継は、15年W杯カナダ大会、16年リオデジャネイロ五輪に向けた布石と言っていい。

 11年のW杯当時、競技登録者3万7000人程度の日本が、緻密なサッカーで競技人口約160万人の米国に勝利した。日本スポーツ界の地図を塗り替える快挙にも、佐々木監督は今後へ警鐘を鳴らすことを忘れない。女子サッカーを一過性のブームで終わらせないためにも「もっと普及させないと。今年はW杯も五輪もない。そういう時こそ女子サッカーを停滞させてはいけない」と言う。まずはWBCに“ガチンコ勝負”を挑み、なでしこの魅力を存分にアピールする。

 ◆アルガルベ杯

 ポルトガル連盟などが主催し、女子の代表チームを招いて行う国際大会。94年から同国南部のアルガルベ地方で毎年行われている。1次リーグで12チームが3組に分かれて戦い、その後は決勝や3位決定戦など各順位決定戦が行われる。A、B組にランキング上位国が集まるため、A組1位とB組1位が決勝を、2位同士が3位決定戦を行うなどの特別方式。日本は一昨年初参加して3位。昨年は決勝でドイツに敗れ準優勝。