<W杯アジア最終予選:日本1-2ヨルダン>◇B組◇26日◇ヨルダン・アンマン、キング・アブドラ国際スタジアム
ザックジャパンがアウェーの地で完敗した。日本はW杯出場権がかかった一戦でヨルダンに敗れ、5大会連続W杯出場は6月4日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(埼玉)に持ち越しとなった。前半終了間際にCKから先制点を奪われると、後半15分にも失点。MF香川真司(24)が反撃弾を決めたものの、絶好の同点機となった直後のPKを名手のMF遠藤保仁(33)が、まさかの失敗。アルベルト・ザッケローニ監督(59)が「日本の課題」と明言するアウェーでの惨敗。W杯出場権獲得どころか、あらためて弱点を露呈してしまった。
後半15分、DF陣をぶっちぎられ、2点目を奪われた瞬間、ザッケローニ監督は、ぼうぜんと立ち尽くした。日本ベンチ前で歓喜の輪をつくったヨルダン選手たちを見やるしかなかった。W杯出場権を獲得するための一戦は、まさかの敗戦。「本来であればここで決めたかった。選手たちはよくやってくれた。カナダ戦後も言ったが、サッカーというのは得点を決めないとやられてしまう。それが出てしまった」。
スタジアムには鈴なりの観客。試合開始4時間前から大歓声が鳴り響き、ピッチは予想通りデコボコ。激しいチャージでも反則を取らない主審…。異様なムードな完全アウェー状態で、指揮官が常日頃「日本はアウェーでは別のチームになってしまう。自分たちの戦いができなくなってしまう」と話している課題を露呈させてしまった。
前半39分の相手FKの時にはGK川島に緑色のレーザー光線が照射された。わずかなプレーにも大音量のブーイングを飛ばされる。ホームでの試合が多い日本にとって、経験豊富な選手が多数を占めるとはいえ、慣れた空間ではない。
屈辱以外の何物でもない「事件」も起きた。前半終了直後には相手選手に抗議したザッケローニ監督が、逆に親指を立てられ、首を切られるポーズで挑発を受けた。試合終了後にも再度、相手選手に詰め寄った。協会スタッフに引き離されるまで、感情をあらわにした。「ヨルダンの1人の選手が試合中から挑発的なことをしてきたので『どういうことだ』と説明を求めただけだ」と努めて平静を装った。後半24分にFW香川のゴールで1点を返したが、直後のPKをMF遠藤がGKにストップされると万事休す。
本田、長友を体調不良で欠いた今回のヨルダン戦。「招集した選手全員を信頼している。代わりの選手が必ず活躍していると信じている」とザッケローニ監督は繰り返した。実際、本田の「代役」でトップ下に入った香川は22日のカナダ戦と比べると飛躍的に動きが向上し、長友の「代役」のDF酒井高も積極的な攻め上がりを見せた。監督の期待には応えたが、肝心の勝利がついてこなかった。日本の試合開始前に終了したオーストラリア-オマーン戦が引き分けだったため、この日の一戦は引き分け以上でW杯出場権を獲得できたが、それすらならなかった。
後半途中から高さのあるFWハーフナーを投入。終盤にはFW乾も投入したが、効果的な打開策にならず。W杯出場権獲得は6月に持ち越し。「自分の性格的に後回しにするのは好きじゃない。6月にチャンスを生かしたい」。ただ、それより面倒な「アウェーへの苦手意識」という課題を未来へ持ち越した。ギリギリの状況で勝ち抜く勝負強さ。これを得られなければ、W杯での躍進も夢物語でしかない。【菅家大輔】


