【ベロオリゾンテ(ブラジル)=21日】コンフェデ杯イタリア戦での熱戦から、日本代表の「ニュースタイル」が見えてきた。一夜明けて、主将のMF長谷部誠(29=ウォルフスブルク)が明かした。大会前からアルベルト・ザッケローニ監督(60)と話し合って見いだした、サイドチェンジを多用した厚みのある攻撃。イタリア戦で見せたスタイルこそ、世界で戦う足がかりとなる。

 足や腕に残る生傷が、熱戦を物語っていた。長谷部の両足、右腕にはイタリア戦で負傷した傷が生々しく残っていた。攻守の起点になったイタリア戦。ブラジル戦とは違ったチームスタイルを口にした。幅を使った厚みのある攻撃。これまでにはないくらい、サイドチェンジを多用していた。

 長谷部

 自分たちはこれまで、片方のサイドで崩しきることをやってきた。ただイタリア戦はサイドチェンジを何回もして厚みが出た。サイドチェンジの話はいろいろしてきたけど、アジアでは片方で攻めきれるが、世界トップには攻めきれない。ブラジル戦前から、サイドチェンジのことは監督に話をしていた。

 当たり前のように使われるサイドチェンジだが、日本代表では禁じ手だった。片方のサイドに人数をかけて崩しきる。迫力をもって仕掛ける一方で、逆サイドはカウンターに備えて中に絞ってカバーする。だから長谷部の位置でも「早い段階でボランチからの展開は認められていなかった」。それがザック流だった。

 ブラジル戦後、主力選手がこぞって「個を伸ばさないといけない」。圧倒的な個人の差を痛感し、そう口走る選手たちにザッケローニ監督は悩んだ。「日本人の細かい性格は、まだ3年間しか過ごしていないから分からない部分がある」。長谷部に打ち明け、日本人の特徴を踏まえて、個よりも組織として戦っていくことを再確認。1時間以上のミーティングで話し合うと、MF本田もうなずいた。

 組織として戦う手法の1つがサイドチェンジ。イタリア戦前日練習から取り入れ、一定の結果も出た。歩み寄りを見せた指揮官に、長谷部は「イタリア相手にはそういう方が打開できると思ったのか、自分たちの意見を取り入れてくれたのかは分からない。ただ攻撃に厚みは出た。アクションを起こしてくれてありがたい」。世界で戦うための変化。ザックジャパンも進化していく。【栗田成芳】