<国際親善試合:日本3-2ベルギー>◇19日(日本時間20日)◇ブリュッセル

 スタメン落ちに奮起した。MF岡崎慎司(27=マインツ)が、一瞬の隙を逃さなかった。1点勝ち越した後の後半18分、FW柿谷のワンタッチパスに反応して抜け出し、右足ダイレクトで3点目を入れた。イメージ通りのゴールに「ゴールの前にもチャンスがあったし、裏に抜けられると思った。いいボールがきて、いいコンビネーションで取れた」と満足した。

 悔しかった。ザック体制では不動の左MFだが、清武に正ポジションを譲った。今合宿でいろんなメンバーをテストすることは知っていたが、それでもやはり、ベンチから聞くキックオフのホイッスルは、気持ちのいいものではなかった。「清武もいいプレーをしていたし、僕は違うやり方で持ち味を出したかった」。中盤でバランスを取り、チャンスメークに徹したライバルに対抗するには、ゴールしかないと思っていた。

 ドイツでもまれ、信念が確信になったものがある。ゴール前の飛び込みだ。高校時代から得意としていたが、長身が並ぶブンデスリーガで、174センチが生きる道は、なるべくボディーコンタクトを避け、長身DFの間を抜けることだった。「ここぞっという時に裏に抜ける瞬間を大事にしたい。瞬間の飛び出しは僕の生命線だし、ストロングポイントでもある」。

 W杯に出場する国のセンターバックは190センチ以上が並ぶことも珍しくない。しかし岡崎にとって巨漢は大歓迎だ。これから7カ月、ドイツでさらに持ち味を磨き、世界相手にもスルスルッと裏に抜け出す。【盧載鎭】