<U-22アジア選手権:日本0-1イラク>◇準々決勝◇20日(日本時間21日)◇オマーン・マスカット

 【マスカット(オマーン)21日=木下淳】初陣の手倉森ジャパンが、アジアの中での現在地を知った。16年リオデジャネイロ五輪を目指すU-21日本代表は、U-22イラク代表に敗れた。五輪予選であれば出場の目安となる4強入りを逃したことで、手倉森誠監督(46)は「就任2週間で勝てるほど甘くなかった」と受け止めた。今大会と同じ方式で行われる五輪予選へ、ここから船出する。

 「五輪予選本番じゃなくて良かった」。試合後、ゲーム主将のDF西野がこぼした。この世代でアジア最強のイラクに序盤から押し込まれ、やっと出た初シュートは前半ロスタイム。後半も体を張ったが、残り6分で力尽きた。ロングパスから右に抜けたFWカラフに西野とDF山中が振り切られる。さらに飛び出したGK櫛引もかわされ、右足で決勝弾を流し込まれた。

 昨年のU-20W杯で4強に入り、先発11人中10人がA代表経験者の難敵。特に前半は球際で競り負け、鋭い寄せにパスを通せない。ほぼ自陣でプレーを強いられ、苦し紛れの縦パスはFW鈴木の前で難なくはね返された。浴びたシュートは日本の4本に対し18本。U-19選手権の同じ準々決勝で敗れ、U-20W杯出場を阻まれた相手との再戦は「仮想五輪出場決定戦」だったが、返り討ちに遭った。

 初采配の手倉森監督は現状を受け止めた。「就任2週間で勝てるほどアジアは甘くなかった」。元日まで仙台との契約が残り、今大会は日本協会が選んだ選手で挑んだ。昨秋以降、仙台の仕事を終えて深夜に帰宅し、明け方まで代表の映像を見る日々。この世代が昨年1年間に受けた全ミーティングの資料にも目を通した。その上で指導したが、時間が足りなかった。

 負傷者以外のフィールドプレーヤー全員を起用し、リオ五輪を目指す1歳下の年代を試しながら戦った。それでも大会前に「優勝」を宣言した。「試運転の気持ちじゃ負けても何も残らない。優勝する覚悟で挑めば、ボロクソに負けても何か手応えが残る」からだ。

 この大会の第2回がリオ五輪予選(15年1次、16年最終)を兼ねる。前回ロンドン五輪のアジア大陸枠は3・5。今の日本では最低限の4強にも届かない。はい上がる。指揮官は「大会を戦い抜くタフさ、対応力を今後の2年間で鍛える。監督業の正解は勝利。競争できる選手を発掘し、組み合わせる」と力を込めた。

 3月下旬に都内で行う国内合宿からは自らの目で選手を選ぶ。帰国後の今月下旬からJリーグのキャンプを視察。初黒星を糧に、ここから真の挑戦を始める。