八百長疑惑で告発されたサッカー日本代表のハビエル・アギーレ監督(56)が、早ければ今週中にも釈明会見を開くことになった。日本協会の原博実専務理事(56)が21日、明らかにした。29日から来年1月9日開幕のアジア杯(オーストラリア)に向けた国内合宿がスタートするが、それよりも前に、指揮官自ら説明する場が設けられる。

 アギーレ監督が今週中にも、生の声をファンに届けることになりそうだ。各都道府県協会の代表者からなる評議員会の終了後、原専務理事は「監督の代理人や弁護士の考えもあるので、擦り合わせをしているが」と前置きした上で「現状を考えると、いきなりキャンプとなると、多分その話題(八百長疑惑)ばかりになる可能性が高くなる。監督の意見は決まっていると思うけど、キャンプの前にやった方がいいと思う。まったくやらないということはない」と説明した。

 18日の理事会後の会見でも「タイミングが難しいが、しかるべき時に必要だと思う」と語っていた。29日からは、アギーレジャパン初の公式戦を控えた合宿がスタートする。その初日に、ピッチ外の話題で振り回されるより、当事者が表に出て話すことで、雑音を減らしたいという意図がある。

 現地報道では近日中にも告発が受理される可能性もあり、そうなれば世間からの注目度は一層高まる。告発されたのは、15日の日本代表メンバーの発表を終えた夜。会見では「競技の部分のみに集中して臨む」と話したが、告発後は公の場に出ておらず、自身の口から嫌疑について説明する。

 日本協会は、法務部門を専門とするスタッフをスペインに緊急派遣。現地の顧問弁護士らと情報収集すると同時に、今後の裁判所での日程や捜査の流れを大まかに把握しておくことが狙いで、じかに、いち早く情報収集することに注力する。

 Jクラブや海外組の選手には、霜田技術委員長から事情説明のメールが18日の理事会後に送られている。また、この日に行われた評議員会では、冒頭で大仁会長から「お騒がせして申し訳ない」と謝罪があり、現状が説明された。出席者からは、質問や具体的な説明を求める声は上がらなかったという。国内合宿を前に、指揮官自らがどのような話をするのか注目される。

 ◆八百長疑惑

 10-11年シーズンの11年5月21日、リーグ戦最終節。負ければ2部降格だったサラゴサは、敵地ですでに残留を決めていたレバンテに2-1で勝ち、1部残留を決めた。当時サラゴサのイグレシアス会長が、アギーレ監督や選手の口座にボーナス名義で、計96万5000ユーロ(約1億4500万円)を入金。それがレバンテの選手らに買収資金として渡った疑いがある。今月15日にスペイン検察当局がバレンシア裁判所に告発し、疑いをかけられているのは41人。アギーレ監督のほかイグレシアス会長やクラブの幹部3人。当時サラゴサに所属していたマンチェスターUのMFエレラ(スペイン)、AマドリードのMFガビ(スペイン)ら18人と、レバンテに所属していた18人。サラゴサのクラブ自体も告発されている。