<天皇杯:浦和1-0愛媛>◇4回戦◇3日◇駒場

 浦和が乏しい試合内容とDF闘莉王(27)の「お前」発言でサポーターの怒りを買った。J2愛媛から90分間では得点を奪えず、延長前半5分、MFポンテのPKで1-0と辛勝したが、スタンドは大ブーイング。ストレス充満の一部サポーターは闘莉王の言動にも激怒し、浦和幹部と2時間以上も激論を交わした。

 120分間を費やして愛媛に1-0で辛勝した浦和イレブンにブーイングの嵐が待っていた。批判するサポーターに闘莉王らが近寄って話し合った。一度は沈静化したように見えたが、試合後、会場正面に約200人のサポーターが陣取り、エンゲルス監督や首脳陣の責任を問う罵声(ばせい)を次々と浴びせた。

 先月26日のJリーグ新潟戦に続く連勝だが、指揮官に批判が集中した。格下に苦戦した采配に辞任を要求。同監督が無言のままバスで会場を出ると、今度は闘莉王が一部サポーターを指さし「お前」と発言したことを問題視された。「クラブは選手にどんな教育をしているのか。なめるのもいいかげんにしろ!」と怒りは頂点に。面会要求を受けた藤口社長らが非公開でサポーターの主張に対応。事態が収拾したのは試合終了から5時間20分後だった。

 前監督解任直後の3月20日ナビスコ杯神戸戦後、同社長はサポーターに強化方針を熱弁したが、約7カ月後の愛媛戦もストレス蓄積の試合を展開。シュート数は敵の13本に対し、20本を放ってPKの1点のみ。延長前半11分には細貝が1発退場で数的不利も招いた。同社長は「ちょっとしたところで変わるところまできている」と言えば、闘莉王も「勝ってブーイングされるし、負けたらもっとブーイングされる。精いっぱいやっている」と理解を求めた。まだJと天皇杯で優勝の可能性を残す浦和だが、迷走は続きそうだ。【藤中栄二】