<天皇杯:東京2-1仙台>◇4回戦◇3日◇味スタ

 前日本代表監督が、ベガルタを絶賛した。J2仙台は東京と対戦し、1-2で敗退した。6度目の4回戦突破を目指したが、決定力の差に泣いた。だが、観戦したイビチャ・オシム前日本代表監督(67)が「どちらがJ1か分からない」と評価するように、展開は仙台ペース。手倉森誠監督(40)は9日のJ2リーグ広島戦に向けて、手応えをつかんだ。

 負けはしたが、大きな自信を得た。1-1の後半ロスタイム、東京FW平山に一瞬のスキを突かれて決勝点を奪われた。リーグ戦なら、黙っていない仙台サポーターが、試合後に満足げなベガルタコールの大合唱。足をけいれんさせる選手が続出するほど「J1」に体当たりした。

 前半からリズムよくボールを回した。1点ビハインドで折り返したロッカールームの雰囲気は、悪くなかった。FW中原は「点が取れたら『いける』と話してた。(チームに)自信があった」と振り返る。

 後半開始からFW中島、中原の「中中コンビ」に、ラストパスを送り続けた。後半27分、東京の最終ラインがついに崩壊。中島の左サイドから中央へのパスが、相手DFに当たり中原へ。「GKを見てファーが空いてるのを確認した」という中原のゴールで、逆転勝ちムードも漂ったほどだ。

 脳梗塞(こうそく)から回復し、来季J2の札幌から総監督への就任を要請されているオシム氏が、初めて仙台の試合を視察した。

 オシム氏

 今日来たお客さんに、J2でもいい試合ができることを見せられたでしょう。どちらがJ1か分からなかった。負けたが仙台は内容で勝った。内容からいえば仙台に勝たせてやりたかった。ただ勝てないのは原因がある。ミスなのか、何なのか原因を考えないといけない。

 世界の名将の絶賛を伝え聞いた手倉森監督は、ニンマリした後、こう引き締めた。「内容が上でも決定力の差が出た。悔しさをリーグ戦にぶつけたい」。

 ベスト布陣の東京に、10月26日のC大阪戦から先発5人を入れ替えて臨んだ仙台。すべては昇格を果たすためだ。「今度(広島戦)はホームで硬くなるかも知れないけど(東京に挑戦したような)同じメンタリティーで行きたい」と指揮官。すでに、リーグ戦集中モードに入った。【山崎安昭】