＜Ｊ１：山形０－１横浜＞◇１７日◇ＮＤスタ

　山形が、あの男の左足に、また屈した。後半１９分、日本代表の横浜ＭＦ中村俊輔（３１）が中央やや左から、ＦＫで低いボールを蹴り込む。ＦＷ坂田が頭で合わせたボールは、無情にもゴールマウスに飛び込んだ。先月３１日ナビスコ杯（０●１）でも、中村のＣＫから決勝点を奪われたモンテディオ。寒空に、サポーターの白いため息が消えていった。

　またしても苦汁を飲まされた小林監督は「ワンチャンスをものにする、怖い選手がいた」と、中村の能力の高さに脱帽。だが「絶対勝てない相手ではないと思う」と、強い口調で続けた。失点こそしたが、組織的な守備を崩された場面は、ほとんどない。相手を慌てさせた回数も山形の方が多かったほど、内容は悪くない。だからこそ「勝ちたかった」（同監督）。

　連勝は「２」でストップしてしまった。Ｊ１に上がった昨季から、気温１０度未満での不敗記録も「７」で途切れた。ＦＷ田代はシュート機会がなく、リーグ戦連続得点は３試合で止まった。Ｊ１通算１００戦目を飾れなかった田代だが「最後のところまでいけている。あとはクロスやシュートの精度」と、課題克服に意欲を燃やす。

　さまざまな記録は止められた。だがチームの成長を止めるわけにはいかない。小林監督は「ボールをつないで（前へ）運べるようになっている。あとはちょっとのところ」と進化を強調する。ビッグクラブから、本気で勝ち点を奪うつもりだったからこそ、ＧＫ清水ら多くの選手が「悔しい思いが強い」と唇をかむ。敗戦を糧にしてこそ、チームは変わるはず。１つの黒星で気持ちがやられるほど、山形は弱くない。【山崎安昭】