サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本代表MFで、オーストラリアの強豪メルボルン・ビクトリー入りする本田圭佑(32)が、サッカー・カンボジア代表の実質的な監督に就任する。
12日、首都プノンペンでカンボジア・サッカー連盟(FFC)と本田が会見した。指導者ライセンスを持たず、何より現役選手であるため、本田は同国代表チームのゼネラルマネジャー(GM)に就任。この立場で、A代表の強化を取り仕切ることになる。
なぜ、監督なのか。
「監督」はずっと本田が描いてきた将来像の1つにあった。
W杯ロシア大会後の日本代表監督について報道が過熱していた7月中旬、突如ツイッターで「次の日本代表監督? 僕はまだ次の仕事を決めてないですよ」とつぶやいた。
指導者ライセンスを持たず、何より、日本サッカー協会の候補でもなかったため、ただの笑えないジョークだと思われた。
だが、それは、次なる壮大な挑戦への1つのヒントだったのかもしれない。
2日にインターネットテレビ局AbemaTVのニュース番組に滞在先のバハマから生出演しメルボルン・ビクトリー移籍について初めて語った時も「チャレンジを理解してくれるクラブと交渉を続けてきたんですね。ものすごく理解してくれて前向きに話させてもらっているクラブがあって、報道でご覧になっているクラブ。まだ何も決まっていないですね。かなり無理難題を投げさせてもらっているんで」と話していた。
この「無理難題」も、オーストラリアでプレーしながらカンボジアで実質的な指揮を執るということだったのかもしれない。
ただ、道のりは厳しい。まず現役、新天地メルボルン・ビクトリーで約4億円という破格の年俸で迎えられる期待にプレーでこたえる責任がある。15日にはメルボルンで盛大な入団会見が行われる。
そして、現役続行への理由として新たに掲げた20年東京五輪に日本代表のオーバーエージ枠で出場するという目標がある。
ここに、同時にカンボジアという国のサッカーに対する実質的な代表監督としての重い責任が加わる。
さらに、公言し突き進むビジネスでも、米国の人気俳優ウィル・スミスとともに立ち上げた1億ドル(約113億円)規模のベンチャーファンドなど、幅広く活動している。
不可能と思えることを可能にし、突き進んでここまできた本田だが、これまで以上にいばらの道ともいえる、厳しい道を進む。
32歳。生まれてからずっと、W杯で勝つことだけを考えて過ごしてきたといっても過言ではない。
ロシアで「これがW杯、僕自身最後になる」と4年後のW杯カタール大会は目指さないと言った。
次なる目標は、自国開催の20年東京五輪だけでなく、さらに壮大で複雑なものに定め、まだまだ突き進むようだ。【八反誠】