<欧州CL:バルセロナ1-1Rマドリード>◇準決勝◇3日◇バルセロナ

 バルセロナ(スペイン)がホームでRマドリード(同)と引き分けて2戦合計3-1とし、優勝した08-09年シーズン以来2季ぶりの決勝進出を決めた。第1戦後に判定を巡る激しい論争が起き、重圧のかかる試合だったが、この日もボール支配率64%と持ち前のポゼッション・サッカーで危なげなく勝ち抜いた。18日間で4度実現したレアルとの“クラシコ(伝統の一戦)”は1勝2分け1敗だった。決勝は28日に英ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われる。

 バルセロナが、論争にピッチ上で結論を出した。攻撃的にスタイルを変えた相手、降り続く雨にもかかわらず、ボールをキープし、パスをつないで攻める普段通りのスタイルを貫いた。0-0の後半9分にはMFイニエスタのスルーパスを受けたFWペドロが先制。第1戦の2点リードをさらに広げ、ほぼ勝負を決めた。前日会見で「サッカー以外の話題ばかりで悲しい」と話したMFシャビは「サッカーの正義が実践された。ベストなチームが勝ち上がるんだ」と胸を張った。

 第1戦のレアルMFペペの退場判定をきっかけにした論争は、お互いが相手をUEFAの規律委員会に訴える泥仕合に発展した。相手のモウリーニョ監督から、審判の判定の優遇を受けていると批判され、ビデオや写真を使ってシミュレーション行為を指摘されたバルセロナには、大きな重圧がかかると思われた。

 だが、グアルディオラ監督とともに、世界中から目標とされるバルサのプレースタイルを磨き上げた選手たちの信念に揺るぎはなかった。いつも通りの試合をし、ボール保持率は64%。「チームには成熟が見られた。チャンスを多く作り出すことはなかったけれど、そういったプレーで相手の決定機を阻止することができた」と同監督。ボールを渡さないことで、点を取りに来た相手の勢いをそぐことに成功した。

 18日で4度のクラシコを終えた。グアルディオラ監督は「ここ20日間は張り詰めていて、本当にハードだった」と振り返った。次は自身が現役時代の92年にCLを制したのと同じ、ウェンブリーでの決勝に臨む。「世界に我々のスタイルのサッカーを見せ続ける。それは、可能な限りボールをキープすることと、相手をリスペクトすることだ」。若き指揮官は、レアルとの泥仕合にけりをつけるように、決然と言い放った。(山本孔一通信員)