実業団の駅伝ナンバー1を決めるニューイヤー駅伝が来年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。21回の最多優勝回数を誇る旭化成が、トラックの村山紘太(23)マラソンの佐々木悟(31)のリオ五輪代表2人を擁して18年ぶりの王座奪還に挑む。

 旭化成の弱点は外国人選手がいないため例年、インターナショナル区間の2区(8・3キロ)で1分以上のビハインドを背負うことだ。マラソンのレジェンドだった宗茂・猛兄弟の両監督から後を継いで2年目の西政幸監督は「2区で後れないためにも1区(12・3キロ)が重要」と、スタートを村山紘か大六野秀畝(24)に託す。大六野も九州予選の1区で独走するなど絶好調だ。

 2人のどちらかが3区(13・6キロ)に回り、最長区間の4区(22キロ)は市田孝(24)が走ることになる。日本選手権1万メートルは4位で惜しくも五輪代表入りを逃したが、今季の安定度ではチームナンバーワンだ。2月に予定している初マラソンでは、「ロンドン世界陸上代表入りを狙う」と、スタミナ練習も順調に進んでいる。

 上州路の強い向かい風を受ける後半区間では佐々木や、今季2時間9分台を達成している丸山文裕(26)らマラソンランナーが力を発揮しそうだ。

 九州予選では先行したMHPS長崎を5区で市田が逆転したが、最終7区で有村優樹(24)が再逆転された。五輪後は休養もして状態を落とし九州予選には出走しなかったベテランの佐々木は「若手だけに任せていられない」と11月後半から調子を上げてきた。

 1万メートルで日本歴代2位を持つ鎧坂哲哉(26)が、リオ五輪代表を逃した後は元気がなく、村山謙太(23)も九州予選で脚を痛めた。昨年の北京世界陸上代表だった2人が復調すれば、盤石の布陣となる。1万メートル27分台のランナー5人、マラソンを2時間10分未満で走るランナー3人がメンバー登録された選手層の厚さで、2区の後れをどこまでカバーできるかが勝敗を左右する。

 西監督は「トヨタ自動車にはいつも6区(12・5キロ)7区(15・5キロ)で差を開けられますが、今回はそこに絡んでいきたい」と意気込む。伝統のマラソンの力と、若手トラックランナーたちが融合すれば、新たな旭化成時代を築くことができるはずだ。