<別府大分毎日マラソン>◇2日◇大分市高崎山うみたまご前-大分陸上競技場(42・195キロ)

 順大時代に箱根駅伝で「山の神」と呼ばれた今井正人(29=トヨタ自動車九州)が、初のサブテンとなる2時間9分30秒で日本人トップの2位に入った。昨年11月のニューヨークシティマラソンで、公務員ランナー川内優輝らを抑えて日本人トップの6位に入るなど成長し、今回8度目の挑戦で才能が開花。“マラソンの神”としてリオ五輪出場へ視界が開けてきた。アブラハム・キプリモ(24=ウガンダ)が2時間9分23秒で初優勝した。

 「山の神」が8度目のマラソン挑戦で、初めて2時間10分の壁を越えた。今井は「追い詰めながら抜けなかった。勝てなかったことが悔しい」。優勝したキプリモと7秒差の2位を悔しがる一方で「1歩1歩前進しているのも僕なのかも」と手応えをつかんだ。

 ペースメーカーが離脱した30キロから1キロを2分台後半で刻むスパートを試みて集団のトップに立った。34キロ過ぎにキプリモに抜かれたが、40キロ過ぎの上り坂で最大20秒近かった差を7秒に縮めた。山の神と呼ばれた今井の真骨頂だ。昨年のニューヨークシティマラソンで、川内らを上回る日本人トップの6位になった。ペースメーカーのいないタフなレースで、今井自身が成長を確信したという。

 過去7度のレースは力みなどで終盤に失速。それだけに初のサブテンに感慨深げ。ゴール後のお立ち台で「うまく切り替え、しっかり走り切る課題がクリアできた」と喜んだ。「マラソンの今井と呼ばれたいか」と問われると「次へステップアップできるよう頑張りたい」と意気込んだ。

 森下監督が「今後トラックでスピードを磨けば、次が面白い」と評価すれば、今井も「五輪で勝負できるようにトヨタ自動車九州に入ったので」と期待に応える構えだ。着実に進化を遂げ、16年リオ五輪が視界に入った。【菊川光一】