アマチュアの稲見萌寧(もね、15=日本ウェルネス高1年)が首位と4打差4位で最終日に挑む。6バーディー、2ボギーの68をマークして通算7アンダー137。「ツアー出場2戦目」での日本人最速優勝や、「15歳299日」で勝みなみに次ぐ史上2番目の年少V、史上5人目のアマチュアVなど記録ずくめの頂点を狙う。

 首位と4打差4位。最終日を前に堂々の逆転V圏につけ、15歳の稲見が戸惑うように笑った。

 「自分自身でも驚きです。スコアを気にせず、プレーに集中することしか考えてなかったのに…」

 JGA(日本ゴルフ協会)のナショナルチーム候補とはいえ、ツアー競技は予選落ちした4月ヤマハレディースに続く2戦目。今大会は主催者推薦選考会のマンデー予選を3位で出場を決めた。勝てば大事件だ。

 思わぬ幸運があった。6番パー5だ。グリーン右前のバンカーから、ピンまで83ヤードの第3打はグリーンをキャリーで越えた。「OBと思った」という。ところが、ボールはOBゾーン手前30センチのラフに止まった。さらにアドレスで右足がカート道路脇のコンクリートにかかり、救済が受けられた。おかげで前方の木の枝が邪魔にならず、第4打がグリーンエッジまで運べた。そこからパターで寄せ、ボギーで済んだ。

 東京・池袋第二小4年の時、初めてクラブで球を打ち、空振りがなかった。だから、ゴルフにはまった。高校進学時は迷わず通信制を選んだ。「プロになるには、人の何倍も練習しないとダメなので」と今は1日10時間、球を打っている。

 名前は「萌寧」で「もね」と読む。印象派の画家クロード・モネとは無関係。母直子さん(34)が「世界で活躍できるように、外国の人が発音しやすいように」と願ってつけた。「アマチュアらしく、欲をかかずに頑張ります」。強烈な印象を残し、無欲の萌寧が明るく笑った。【加藤裕一】

 ◆稲見萌寧(いなみ・もね)1999年(平11)7月29日、東京都生まれ。ゴルフは9歳から。昨年は東京・東深沢中3年で初出場した日本女子アマ8強。得意クラブはアイアン全般、ドライバー飛距離は約240ヤード。好きな有名人は俳優トム・クルーズ。家族は両親。165センチ、58キロ。

<稲見が狙える記録>

 ▼日本人最速V 4月のヤマハレディースに続くツアー出場2戦目。ツアー最速は1戦目で、アン・ソンジュら外国勢11人が記録。

 ▼2番目の年少V 15歳299日。勝みなみの15歳293日(14年KKT杯バンテリンレディース)に次ぐ記録。

 ▼5人目のアマチュアV 過去に清元登子(73年トヨトミレディース)宮里藍(03年ミヤギテレビ杯)キム・ヒョージュ(12年サントリーレディース)勝みなみ(14年KKT杯バンテリンレディース)がいる。