上田桃子(29=かんぽ生命)が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算9アンダー、207で首位と4打差の3位につけた。5番でギャラリーの携帯電話に2度もプレーを中断させられながらパーセーブするなど、大人のプレーを披露。07年に賞金女王を決めた思い出の大会で、遅ればせながら今季初勝利を狙う。

 ガッカリしなかった。上田は2つのボギーの直後、いずれもバーディーを奪った。「流れを大事にしていたので、そこは良かったと思います」。悪い空気を自ら断ち切って、優勝戦線に何とか踏みとどまった。

 カリカリしなかった。5番パー3でティーショットを打とうとした瞬間、真後ろにいたギャラリーの携帯電話が盛大に鳴った。仕切り直しの一打はグリーンに届かず、第2打のアプローチ直前、今度は別のギャラリーが通話しながらコースの脇を歩いてきた。同組の成田が注意してやめさせ、構え直すと、ピン横30センチに寄せてパーでしのいだ。

 3週前の樋口久子Pontaレディースでも同じ“妨害”に見舞われ、ダブルボギーをたたいていた。「あの時はカッとなってしまった。だから、いったん間合いを外して、別のことを考えました」。変わったのはメンタルだけではない。29歳となり「若い時と違って、疲れがたまりやすい」。温水と冷水に交互に入る、2分×3セットの交代浴によるケアを欠かさない。

 「彼女(イ・ボミ)との4打差は大きい」と漏らしたが、最終日最終組対決で独走を許すわけにはいかない。「賞金女王になった時も、初シードを決めた時もこの大会。2年前に優勝を逃した悔しさもある。今年はいい思い出をつくりたい」と誓った。【亀山泰宏】