福嶋浩子(38=フリー)が涙の初優勝を遂げた。首位から出て75と崩れ、通算5アンダー211で並んだキム・ハヌル(27=韓国)とのプレーオフに突入。1ホール目でパーとし、パーパットを外したキムを退けた。一時はゴルフをやめて、日米通算26勝の姉晃子(42)のマネジャーを務めた苦労人が、試練を乗り越えて勝ち切った。姉妹Vは日本女子ツアー史上初めてで、38歳での初優勝も歴代4番目の「遅咲きV」だった。

 優勝を見守った晃子は、その戦いぶりに「まさかあの妹が…」と感無量の表情だった。自身は今大会予選落ちも、この日は応援のためにコースを訪れた。幼い時から浩子は極度に緊張するタイプで、ジュニアの試合の時には「お菓子を持たせて、『ピクニック気分で行っておいで』と送り出した」と振り返る。だからこそ16番の4パットを見て「17番は見れなかった」と18番に先回りしたほどだ。

 父で元プロ野球選手の久晃さん(69)は現在岡山・関西高の野球部GMで、コースには来られず、母しず江さん(68)から連絡。英国に住む次姉真弓さん(40)からは、第1日から活躍を喜ぶメッセージが母に入っていた。

 しず江さんは「お姉ちゃん(晃子)がいるから浩子がつぶれた」と周囲に言われるのが「切なかった」という。同時にキャディーとしてコンビを組む後藤勝さん(39)に「もっと若くて稼げる選手についた方がいい」と後輩を紹介しようとするなど、人柄のいい浩子が「優しいから勝てない」と言われることもつらかったと明かした。そんな福嶋家に、新たな春が来た。