熊本・菊陽町出身の笠りつ子(28)が、熊本地震から4カ月たったこの日、故郷を勇気づける勝利を飾った。

 優勝インタビューで開口一番、「やっと勝てた」と言った。今季はショットが好調で開幕戦で2位、熊本地震の翌週のフジサンケイ・レディースも2位に甘んじ、涙を流した。今季19試合出場でトップ10入りは12回。父清也さん(55)も「いつ勝ってもおかしくない」と信じていた。「やっと優勝カップを持つことができました」は率直な気持ちだろう。

 6月アース・モンダミン杯の表彰式。2連覇を果たしたイ・ボミ(韓国)とともにベストスコア賞として表彰式に出た。昨年の同大会もイーグル賞でボミと並んだ。特別賞でしか表彰式に出られず「悔しい。日本人として負けられないと思った」。

 同時になぜ勝てないかも自問自答した。「自分に期待しすぎて空回りした。だから『勝つんだ』ではなく、『ベストを尽くそう』と」。この日は初めて順位ボードを見ずに、自分のプレーに集中した。16番パー5では2オン成功、17番パー3ではピン右1・5メートルにつけ、連続バーディーと攻め手を緩めなかった。18番を終えてスコアを提出する前に「2打リード」を知って、残り2組のプレーと勝利の瞬間を待った。

 熊本地震で笠の自宅、両親が営むゴルフ練習場も被災した。4月14日の前震後、熊本には戻っていない。「帰りたいんですけどね」。そんな中、笠はこれからも気丈に戦い続ける。