首位から出た松山英樹(24=LEXUS)が2バーディー、3ボギーの71で回り、通算3アンダーの137で3位に後退した。同7アンダーでトップを維持したダスティン・ジョンソン(32=米国)とは4打差。1000万ドル(約10億円)が与えられるシーズン総合王者には今大会で勝つしかない中、V圏内に踏みとどまった。世界ランク1位のジェーソン・デー(28=オーストラリア)は腰痛で途中棄権した。

 ホールアウトした松山は疲労感たっぷりだった。「もう、全部苦労しました」。前半はティーショットが1度しかフェアウエーに飛ばず、不安定なショットにイライラ。スイングのフィニッシュも決まらない。前日はおもしろいように入ったパットも「フィーリングが、今日はあんまり良くなかった」。第1日は出場選手中トップだった「スコアに対するパットの貢献度」は3・813からマイナス0・675まで悪化した。

 それでも、最大のピンチで感覚がよみがえってきた。ティーショットをミスして右の池に入れた15番パー3。ドロップして打ち直した第3打も寄せきれずに8メートルを残した。これをしっかり打ってねじ込み“ナイスボギー”。「ホントにミスパットは少なくなっていますし、あとはフィーリングさえもうちょっと合ってくれれば、昨日みたいに入ってくれるのかな」。左足寄りだった重心をフラット気味にするなど、微細な試行錯誤が続くグリーン上で、かすかな手応えもある。

 最終18番も2・5メートルを沈めた。望みをつなぐバーディーフィニッシュに「最後入ってくれたのは良かった」と息を吐いた。アジア人初の総合王者には、ランキングトップで今大会も首位に立つD・ジョンソンの後退など他力も必要。ツアーNO・1の飛距離に加え、ここに来てパットも安定し「無敵」の呼び声も高い相手だけに「調子がいい人なので、なかなか崩れることはないと思いますけど、少しでも伸ばしていけるようにやっていけたら」。残り2日間を冷静に見据えた。

 ◆プレーオフ レギュラーシーズンのPR上位125人が第1戦(バークレイズ)に進出。第2戦(ドイツ銀行選手権)は同100人、第3戦(BMW選手権)は同70人、最終戦(ツアー選手権)は同30人と、選手が絞られる。加算ポイントはレギュラーシーズンの4倍で、第3戦を終えた時点でいったんリセット。最終戦前にPRに応じて1位2000ポイント、2位1800ポイント…とあらためてポイントが付与されるため、30位からの大逆転も可能。07年の開始当初はレギュラーシーズン終了時点でポイントをリセットしていたが、08年は最終戦前に総合王者が決まってしまい、09年からツアー選手権前に変更となった。

 ◆松山の総合優勝条件 ポイントランク(PR)17位の松山が10億円を獲得するには、今大会の優勝が不可欠。その上で(1)PR1位D・ジョンソンが3人タイの10位以下(2)PR2位リード(米国)が3人タイの4位以下(3)PR3位スコット(オーストラリア)が3人タイの3位以下(4)PR4位デー(オーストラリア)が3位以下(5)PR5位ケーシー(英国)が2位タイ以下(6)PR6位マキロイ(英国)が2位タイ以下、という6つの条件を満たす必要がある。(4)はデーが第2ラウンドで棄権したため、すでにクリア。