アマチュアの長野未祈(みのり、15=千葉・麗沢高1年)が4バーディー、2ボギーの69で回り、通算4アンダーの138で首位と1打差の2位につけて決勝ラウンドに進んだ。15歳278日での優勝となれば、14年KKT杯バンテリンレディースの勝みなみの15歳293日を上回るツアー最年少V。日本女子ゴルフ最高峰の舞台で快挙を狙う。

 最終18番のグリーン上、4メートルのバーディーチャンスにつけた長野はキャディーの父勝さん(49)と入念に話し込んでいた。「父はスライスラインだと言ったんですが、私はフックだと…」。長野の読み通り、わずかに左へ切れたボールがカップに消えていった。

 決めたら譲らない意志の強さがある。勝さんが中学時代に2度、ゴルフをやめさせようとしたことがあった。「お金と時間、こんなに大変だと思わなくて。家内と話し合って『勘弁してほしい』と」。中学1年の世界ジュニアでサンディエゴに行き、米ツアーも観戦。「ここでやりたい」と夢を描いた。固い決意で両親に覚悟を決めてもらった。

 転機は小学5年の秋までさかのぼる。同学年でスイングがきれいな選手のコーチに指導をお願いした。日本ツアー6勝の辛■周(韓国)も教えた韓国人コーチ、ボン・ションジン氏の指導は強烈だった。長野は「練習態度にとても厳しい。何度もクビになりかけました。実は高校に入ってからも」と恥ずかしそうに笑う。堂々のプレーができるのは徹底した教えのおかげ。「1度スイングを壊し、理想的な軌道に作り直してもらいました」と感謝する。

 昨年はよく一緒に練習する同い年の山口すず夏(東京・共立女二高)が全米女子オープンに出場。「悔しさはあったと思います」(勝さん)。今年も予選落ちした6月の日本女子アマ、日本ジュニア出場を逃した7月の関東ジュニアで涙を流した。「一番の目標が予選通過だったので(上位にいる)実感がまだないです」。悔しさからはい上がり、大舞台で輝きを放っている。【亀山泰宏】

 ◆長野未祈(ながの・みのり)2000年(平12)12月29日、東京・江戸川区生まれ。名前の由来は「未来を祈る」。8歳からゴルフを始め、15年関東ジュニア、16年JJGA石川遼カップジュニアゴルフチャンピオンシップ優勝。プロツアーは9月のゴルフ5レディース24位が最高成績。得意クラブは7番アイアン。ドライバーの平均飛距離は240ヤード。好きな選手はフィル・ミケルソン(米国)。163センチ、59キロ。

※■は火ヘンに玄