プロゴルファー石川遼(17=パナソニック)が尾崎将司(61)に野球特訓を受けていたことが4日、分かった。昨年12月30日に尾崎将宅で約3時間、みっちりと投球、打撃練習を行った。そこでゴルフのスイングに通じる体重移動に開眼。4日の初打ちで早速試し、今季の目標=平均飛距離300ヤード超えの手応えをつかんだ。6日には世界デビュー戦となる欧州VSアジア対抗戦「ザ・ロイヤル・トロフィー」(9日開幕)出場のため、タイに向けて出発する。

 世界に踏み出す記念すべき年の第1打は、最高のショットだった。石川が自慢げに振り返る。「花道の幅3ヤードくらいしかないところに、真っすぐ飛んでいった」。いきなりのベストショットの秘密は、ラウンドの合間の石川の動きに隠されていた。ゴルフクラブを手に野球のバッティングスイングを繰り返した。「野球のバッティングフォームが、ゴルフのフォームにもつながっていると思ったので」と切り出した。

 実は昨年12月30日に指導を仰ぐため尾崎将宅を訪問した。07年にも何度か訪れ、技術的なアドバイスをもらっていた。今回もキャディーバッグを持参した。だが待っていたのは野球のグラブとバットだった。

 体を温める目的で始めた投球練習は1時間半に及んだ。ようやく終えると尾崎将から「今度はバッティングだ」の声。トスバッティングで100球以上打ち続けた。気付いたときには辺りは真っ暗。西鉄ライオンズでプロ野球選手だった尾崎将ならではの野球特訓は3時間以上にも及んだ。

 異例の練習がゴルフに及ぼす効果について説明はなかったという。しかし、石川はしっかりと、新たな感覚をつかんでいた。「体重移動のコツをつかめたかな」。トスバッティングで待つ姿勢の際、体が開かず右足の付け根に体重を乗せて、ボールを呼び込む。「その形がゴルフのトップの形と似ている。このフォームをマスターしたら飛距離が伸びると思う」。昨季の平均飛距離は290・37ヤード。世界進出に踏み出す今季は300ヤード超えを目指す。野球のバッティング練習は、その大きな力になった。

 この日、初打ちを行ったしもふさCCは、小2で初めてラウンドした思い出のコース。「クラブハウスに着くと安心する」という。そして「今年は勇気持っていこうと思う」と決意を口にした。ザ・ロイヤル・トロフィーの活躍を予期させる野球スイングを手に、6日に日本をたつ。【阿部健吾】