前週日本オープン3位の松山英樹(18=東北福祉大1年)が「庶民派王子」になる。20日、仙台市で会見し、プロ転向せず、大学卒業までアマチュアとして活動することを宣言した。プロとして賞金を稼ぐ同学年の石川遼(19)とは対照的な選択。大学卒業までの4年間は、アマチュアで地道にプロへの土台を固める。

 普通の大学生だった。午前中の会見が終わると、学食で350円の「空揚げ丼」を平らげる。午後の練習では、球を打つ前に、他の部員と一緒に球拾いから始めた。「まだプロのツアーで継続的に成績を残す自信はない」。優勝してマスターズ出場権を得たアジアアマから2週連続の快挙も、謙虚に足元を見つめた。

 現在は仙台市内の学生寮に住む。愛媛・松山市の実家から約5万円の仕送りで生活する。同学年の石川はプロ転向から3年連続の賞金1億円超えは確実。自身もプロだったら日本オープン3位で約1100万円を得られた。即プロ転向で賞金獲得の夢も広がるが「大学の4年間でもっと鍛えてレベルアップしてからです」と決意に揺るぎはない。

 来年は4月マスターズと、7月全英オープンの予選の出場権を得た。「予選を勝ち抜いて、全英オープンも出たい」と今後は週2回、大学で英会話の勉強も始める。夢はその全英オープン制覇。石川は小学校の卒業文集に「20歳でマスターズ優勝」と書いた。もっとも、松山は「遼クンがマスターズなら、自分はもっと難しい全英オープン。優勝はいつでもいい。20歳と決めたら、自分が苦しいから」。最後は同学年のスーパースターへのライバル心をむきだしにした。【田口潤】