<IDC大塚家具レディス>◇初日◇29日◇埼玉・武蔵丘GC(6561ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 賞金ランク2位の横峯さくら(24=エプソン)が逆転賞金女王へ、2日目にラストスパートを掛ける。初日は4バーディー、3ボギー、1アンダー71の13位で発進した。首位とは3打差と3日間大会なら十分優勝圏内も、31日の最終日は台風による中止の可能性がある。そのため「出遅れた感じがある」と危機感を募らせ、30日の2日目を最終日と想定し、3打差逆転を狙う。服部真夕(22)ニッキー・キャンベル(オーストラリア)が4アンダーで首位に並んだ。

 逆転賞金王への執念だった。2アンダーで迎えた16番パー5。横峯は第2打を左に引っかける。球は左の林に消えOB。「あんなショットは試合で打ったことがない。びっくりした」。一瞬、動揺は隠せなかったが、すぐに集中力を取り戻す。1罰打後の第4打をグリーン前の花道に置くと、第5打をピンそば1メートルにつけ、ボギーでしのいだ。

 前週マスターズGCレディース優勝の勢いは持続していた。前半は3バーディー、ノーボギーで首位ターン。前週から気分転換を兼ね、クラブのグリップを水色からピンクに戻した。さくらの勝負カラーの効果もあり、アイアンの精度も維持。そんな勢いを消さない意味でも、OBをたたいた16番で大トラブルを回避した意味は大きかった。

 首位と3打差。普段の3日間大会であれば、好スタートといっていいが、今大会は違う。現在台風14号が本州に接近中。31日の最終日は中止の可能性もある。「3打差は出遅れた感じですね。(最終日の)日曜日はプレーができたらラッキー。2日目が最終日のつもりで頑張ります」と危機感を募らせ、2日目のラストスパートを宣言した。

 励みもある。鈴木宏太マネジャーの長女心晴(こはる)ちゃんが28日に誕生。プロ転向直後から4年間、ツアーに帯同してもらい、移動の手配など身の回りの世話をしてもらう。誕生日にはベビー服などをプレゼントしたが、優勝賞金の中からも、ミルク、おむつ代を出し、恩返ししたいとの思いは強い。「外は寒いけど、心は温かい。優勝できるかわからないけど、気分はいいですよ」と目を細めた。

 約3280万円差の賞金ランク1位アン・ソンジュ(韓国)は今大会を欠場。今大会含めて残りは5戦。まずは30日の2日目、台風が接近する前に首位に立つ。最終日中止でも優勝の権利をつかみ、ミラクル逆転女王への1歩を刻む。【田口潤】