<男子ゴルフ:パナソニックオープン>◇初日◇20日◇兵庫・東広野GC(7020ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 池田勇太(26=日清食品)が、9バーディー、ノーボギーの「62」をマークし、単独首位発進した。先週まで3戦連続2位の悔しさと、優勝争いによる心身の疲れを、前日の完全休養で払拭(ふっしょく)。ショットとパットがかみ合い、ビッグスコアをたたき出した。

 17番パー3。池田は7メートルのバーディーパットを、左からしぶとくねじ込んだ。ボールがカップのふちをクルリと1周する様に「カップの中身をかき回してやったよ」とニヤリ。続く18番でもバーディーを奪い、コースレート74・4という関西屈指の難コースで、見事に「62」をたたき出した。

 「あれ、パーが9つしかねえな。ああ、バーディー9つだからか」。ビッグスコアを、冗談めかしながら振り返る。「至って普通にやっている感じだよ。最高のゴルフというわけじゃない」。むしろ会場入りした時点では、3週続いた優勝争いで、心身に重い疲れがよどんでいた。

 そのため前日の19日は、会場で練習ラウンドを行わない異例の調整。宿舎で有酸素運動や体幹トレを行うのみで、クラブを握らず休養につとめた。「それがいい方に出たんだろうな。本当は1週間くらい休みがほしいけどな」と笑った。

 先週のANAオープンでは最終日の終盤首位に立ちながら、3週連続の2位。「はらわたが煮えくり返った」と悔しがったが、遠征をサポートした北海道の友人たちの前では押し殺し、新千歳空港のレストランでお礼の食事会まで開いた。

 神戸空港への移動便に搭乗する直前、ラウンジで1人になってから、ウイスキーを続けざまに胃に流し込んだ。「酔いすぎて、いつ飛行機が離陸したのかも分からんかった」。強いアルコールで、やりきれない思いを吹き飛ばしてから、兵庫に乗り込んだ。

 「優勝、優勝って言うと、いつも2位。たまには2位狙いって言ってみるか。4週連続2位、記録更新だな!」。吹っ切れた笑顔で、会見場を沸かせた。それでも最後は、いつものように優勝宣言で締める。「4度目の正直だ!

 もう3度目も過ぎちまってるからな」。【塩畑大輔】