<男子ゴルフ・ワンアジアツアー共催試合:インドネシア・プロ選手権>◇最終日◇30日◇インドネシア・ダマイ・インダ・クラブ(7156ヤード、パー72)◇賞金総額1億364万円(優勝1865万5200円)

 【ジャカルタ=岡田美奈】松村道央(30=吉野電化工業)がツアー通算4勝目を挙げた。首位に1打差の2位から出て、68で回って通算21アンダー267での逆転勝ち。前半は6番のOBなどで38と崩れ、一時は首位と6打差も、雷雨中断を挟んで後半は16番からの3連続バーディーを含む30の猛チャージだった。1打差2位はこの日62を出したライン・ギブソン(オーストラリア)だった。

 松村にとって大きな自信になる勝利だった。入れれば優勝、外せばプレーオフとなる18番のバーディーパット。「この3メートル、まっすぐだから強く打って入れよう」と気合を入れた。ボールがカップに消えると力強いガッツポーズ。16番ではピンそば1メートルにつけ、17番では「上って下ってスライスの」難しいラインをねじ込み、3連続バーディーでの劇的勝利だ。「ゾーンというか、すごい集中力だった」と振り返った。

 苦しい展開だった。6番でグリーン手前からOB。9番終了時点で首位ギブソンと6打差あった。10番の第1打の後、雷雨による2時間47分の中断があり、それが流れを変えた。「あのままだったらあきらめていたかもしれない」。ロッカー室で「気分転換に」(松村)オレンジ色のシャツから白いシャツに着替えた。10番の第2打や11番のピン位置をイメージし、気持ちを落ち着けた。

 再開後は「(首位が)20アンダーで止まっていたので、そこを届くように集中するだけ」と、前半とは人が変わったように6バーディーを量産した。

 口調こそ穏やかだが、初日から「勝ちたい」という言葉を繰り返し、強い気持ちをうかがわせた。有言実行の勝利、海外での優勝も初めてだ。さらに「自分をマインドコントロールすることを学びました」と、精神面の成長を強調した。「僕のゴルフ人生の新たなスタートになる」。開幕戦を制し、今季の日本ツアーを引っ張る存在となった。

 ◆松村道央(まつむら・みちお)1983年(昭58)7月22日、埼玉県生まれ。10歳からゴルフを始め、佐野日大-日大。05年日本学生王座決定戦優勝。06年プロ転向。08年からツアー参戦。10年東海クラシックで初優勝、4勝とも逆転勝ち。昨季賞金ランク22位。得意クラブはドライバー。172センチ、76キロ。