世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、ついにトップ4に王手をかけた。同33位のドルゴポロフ(ウクライナ)を6-4、6-4の1時間40分で破り、4強へ進出。27日午後6時(日本時間28日午前9時)以降に始まる準決勝で、同15位のアンダーソン(南アフリカ)に勝ち決勝に進めば、3月2日発表の最新世界ランクで、クルム伊達公子と並ぶ日本選手最高位の4位が確定する。

 海風の湿気が球を重くし、体力も奪った。夜に行われたこれまでの2試合とは変わり、汗だくの消耗戦。その中で錦織が安定したプレーでドルゴポロフを振り切り、1回戦から3試合連続でストレート勝ち。理想的な勝ち上がりで準決勝進出だ。「リラックスしてプレーできた。2セットで勝てたのはうれしい」。最後は相手のバックがネットにかかる。右手で小さくガッツポーズを繰り出した。

 いよいよビッグ4の牙城を崩す時が来た。決勝に進めば、まずマリーを蹴落とす。優勝すれば、ナダルの結果次第で3位の可能性もある。10年からの5年間、世界ランクでビッグ4の一角を崩せたのはワウリンカ(スイス)、フェレール(スペイン)の2人だけだ。

 しかし、錦織は「(ランキングは)考えていない。あまり上がりたくない」と苦笑いする。今年の全豪で「5位は居心地が悪い」と話し、報道陣を驚かせた。その全豪や2週前のメンフィスでは、ランク下の選手が、リスクを負って挑んできた。それを受け止める5位という重みは「想像以上だった」という。

 メンフィスで3連覇した後、自身のブログで、追われる立場に「いやー、人生楽じゃない。たまにプレッシャーのない生活に憧れます」と告白した。だが、すぐさま「プレッシャーがない人生より退屈なものはない」と自らに言い聞かせた。

 そこで見いだした目標は、選手の誰もが最も重要視する年末最終ランクだ。「(世界ランクは)1年を戦い切った上での結果だと思う」。毎週の数字に一喜一憂することなく、しっかりと年末を見据える。準決勝で対戦するアンダーソンには、2週目のメンフィス決勝で勝ったばかりだ。しかし「次もタフな試合になる」と気を引き締める。目指すは、年末の世界王者だ。4位や3位も、それまでの通過点にしかすぎない。