日本のエース高梨沙羅(19=クラレ)が、3連勝を飾った。1回目に97メートル、2回目は94メートルを飛び、合計257・8点で札幌開催6連勝を果たした。今季5戦4勝で通算34勝目。昨季逃した女王奪回へ上昇気流に乗った。試合後は、テレビのゲスト解説で会場を訪れた日本ハムの栗山英樹監督(54)と対面し、18年平昌五輪、今後に向けた決意を表明した。伊藤有希(土屋ホーム)は11位だった。

 あまりの強さに「アンドロイド疑惑」が浮上した。高梨はホーム札幌で3季負けなしの6連勝を達成した。もう誰にも手が付けられない現状に、試合後の記者会見で2位のイラシュコが疑問を投げかけた。「アンドロイドなんじゃないかと思う。体の中に血が流れているのか」とニヤリ。これには高梨も両手で口を隠し、笑いをこらえるのに必死。その後「ちゃんと血は流れています」と疑惑を否定し、笑いを誘った。

 まさに精密機械だ。1回目トップで迎えた2回目が真骨頂。上位5人でただ1人、不利な後ろからの風を受けたが、空中でバランスを取り94メートルまで飛んでいった。それでも「2回ともタイミングが遅れた。(次戦の)蔵王までに課題をクリアしたい」と反省した。

 濃密な時間に思い新たにした。この日、日本ハムの栗山監督が、会場に訪れ対面した。握手を交わし、短い会話の後「ちょっといい?」と報道陣を避けるように端に呼ばれ「ソチ五輪(4位)後、どう考え方が変わった?」と問われた。

 勝負の世界で生きる指揮官。敗戦から多くを学ぶことを知っている。高梨は「感謝の思いを結果で示そうと思っていたが、結果を出せるのも周囲に支えられているから。そういう思いを忘れず飛びたい」と伝えた。これまでは結果ばかりを追い求めていたが、そうした意識を改めることを同監督に示した。

 これで今季5戦4勝。昨季逃した個人総合首位をひた走る。「(勝者がもらえる)クリスタルトロフィーを日本に持って帰りたい」。視線は世界の頂に向けられている。【松末守司】