無良崇人(25=洋菓子のヒロタ)が会心の演技で首位発進した。冒頭は4回転トーループ。11月のフランス杯では失敗。その後も捻挫するなど不安を抱えたジャンプだったが、成功。続くトリプルアクセル、3回転ルッツと3回転トーループとジャンプをすべてそろえた。見せ場は前の試合から「もう1段階上げる準備をしてきました」というステップ。フラメンコの床を踏むだけの音に合わせ、荒々しい滑りで会場を魅了。「ユヅがいない中で存在感を出したかった。強くアピールできた」と胸を張った。

 それでも出てくるのは、2位のライバル宇野への称賛だった。「転倒があった中での88と、自分の90では違う。自分はやっぱりまだ及んでいない」。フリーで抜かれることを想定し、「近づいて終われるようにしたい」と背を伸ばした。昨季は羽生、宇野に続く3位に入ったが、男子2枠の世界選手権には届かなかった。18年平昌五輪の枠取りがかかる今季は3枠。表彰台と世界選手権がかかるフリーが「勝負。いい形で終われるように」と意気込んだ。

 出場最年長のベテランで2児のパパ。今までは荒々しく力強いジャンプが持ち味だったが、昨季から余計な筋肉を省き、4回転がより軽やかに跳べる体を作り始めた。コーチを務める母千絵さんは「今までと違い、体がすごく気持ち良さそうに動いているようにみえる。やっと変わった」と変化に目を細める。コーチの両親とともに、初の五輪出場を目指す無良にとって、弾みの一戦となるか。【高場泉穂】