30日の衆院選で政権交代が確実となり、スポーツ政策で自民党を頼りにしてきたスポーツ界には大きな打撃だ。「スポーツ庁」創設やスポーツ基本法制定などの懸案に向けて新政権とのパイプづくりで仕切り直しが迫られることになった。

 スポーツ界は、昨年1月にオープンした味の素ナショナルトレーニングセンター創設などで政府の支援を受けてきた。世界各国が五輪への強化に力を入れる中、自民党のスポーツ立国調査会を通して国に強化費増を求めてきただけに、日本オリンピック委員会(JOC)幹部は「大変な時代になった」とため息をつき、福田富昭副会長は「民主党には(わたしたちへの)窓口が開かれていないが今後はお願いしなければならない」と話した。

 超党派のスポーツ議員連盟会長を務める麻生太郎首相や日本体協会長の森喜朗元首相らがスポーツ政策に影響力を行使してきた。スキーの荻原健司氏やスケートの橋本聖子氏ら五輪メダリストも自民党の参院議員となったが、今後はその関係も変わる可能性がある。

 当面は2016年夏季五輪の東京招致で、開催都市を決める10月2日の国際オリンピック委員会(IOC)総会(コペンハーゲン)に新首相に出席を要請することになる。JOCの市原則之専務理事は「政党にかかわらず、スポーツマインドのある方に協力を求めていく」と強調した。