ラグビー元日本代表SO山中亮平(23=神戸製鋼)が口ひげを伸ばす目的で使用した「ミクロゲン・パスタ」という市販薬には、パッケージに禁止薬物のメチルテストステロンを含有していることが明記されていたという。医師の処方は不要な薬だけに、今回は成分が問題だと本人が気付けなかったことが全てだった。知識不足と不注意が招いたといえる。

 日本ラグビー協会はトップリーグや大学、高校のチームを対象に定期的な講習会を開き、資料配布を進めるなどドーピング啓発には積極的だ。代表活動前の身体検査の際にも、使用している薬や栄養補助食品を選手に提出させて医師がチェックしたが、この時には山中が美容品と認識していた当該の市販薬の提出はなかったという。

 6月にはレスリング男子の北村克哉(ドン・キホーテ)が海外から購入した栄養補助食品に含まれていた禁止薬物に陽性反応を示し、2年間の資格停止となったばかり。再発防止には地道な啓発、教育の徹底しかなく、日本アンチ・ドーピング機構の浅川伸事務局長は「一段と注意喚起を進める必要がある。われわれの活動も幅を広げていかないと」と危機感をにじませた。